2023.11.23 静かな高見島で山を登る

2023年11月23日、冬の季節風が強まる前に秋晴れの瀬戸内を堪能しよう。
ということで香川県多度津町の高見島へ行きました。

高見島は香川県多度津港の沖合に浮かぶ島。
面積は2.33平方キロメートル、人口は20人前後。

猫の島、佐柳島へ行く途中にある島です。
前回は佐柳島行ったので、じゃあ今回は高見島行こう、ということで。
円錐形に見える龍王山が特徴的なので、フェリーに乗っているときに記憶に残っていたのです。

多度津港~高見島~佐柳島行きフェリーはそれなりに旅客が乗っていましたが、ほとんどは佐柳島へ。
高見島で降りたのは私含めて2,3人くらい。

塩飽諸島全般は瀬戸内国際芸術祭の舞台になっており、高見島ももちろんその一つ。
待合所近くでは奇妙なバランスで維持されているオブジェクトが出迎えてくれます。

ひとまず島唯一の公衆トイレがある待合所でおトイレ。
中では定期船の歴史も紹介されています。

集落内を歩くと行政の出張所。
こんな小さな平屋が窓口となったりするのか……

まあこれはこれで働くの、気持ちよさそうだなと思う。

今はもう誰もいなさそうな小中学校へ。
かつてはここにも多くの子供が学び、歓声を上げながら遊んでいたりしていたのだろうな。

今は研修センターとして使われているよう。
近くにかまどみたいなものもあり、キャンプとか出来そう。

斜面集落、浦集落へ登る。
野面積みの石垣が庶民らしさと歴史を感じさせる。

島唯一の寺、大聖寺へ。
死に場所を島で、という方がお世話になっているのだろう。
境内は掃き清められていそうです。

浦集落を歩く。

平地が少ないので石垣が多いです。
切り石による石垣は昭和初めに造られたようですが、劣化はほとんど見られず。
良い技術です。
隙間が無い分、浦集落はひとけがほとんどありませんが草木がぼうぼうに生えているわけでもなく、案外綺麗に維持されています。

龍王山への登山口を探していると、祇園社付近にありました。
時間もあるし、ちょっくら登ってみますか。

歩道は少し古いですが付けられています。
トラバースしながら北側の稜線に乗り、そこから山頂を目指すというコース。

トラバース中には時折「段」が見られ、浦集落より上部でも土地を利用していたことがわかります。
多分段々畑でも作っていたんでしょうかね。

稜線に乗ると起伏も少なく散歩コースに。
常緑樹とツタの森林、樹間から見える海、開放感も静けさもある。

山頂付近には石垣等の遺構もありますが、祠等はほぼ残っておらず。
独立峰のような頂だから信仰の対象となりそうですが、流石に現代まで維持はできないか……

山頂は切り開かれておらず、展望はなし。

たまに開けるコース途上では、瀬戸内に浮かぶしまじま。

下山してまた浦集落を歩きます。
人っ子一人、いやしねえ。

瀬戸芸で作品展示されていた場所発見。
今は入れないよう?

集落内で営業している店とかもなさそうです。

とある廃屋内を探索させてもらう。

残っている食器の数とか梁に残る煤の量とかで、住民がどういう生活をしていたかが想起される。
裸電球の下で今日あったこととか明日やることとか、色々な話や食事をしていたのでしょう。

次は海岸に降りて海沿いの県道を歩いてみる。

砂浜に墓が見えます。
堤防がなかったら高潮で引きさらわれてしまいそう。
堤防が作られた後、墓参りしやすいように最近(数十年単位)作られたのだろうか。

海沿いを歩く。
山が海に迫っているし人通りも全然見られないので、道路上には落石多数。
たまに海に蹴落としながら進んでゆく。

地図では北端に灯台記号がありますが、道が付けられていなかったのであきらめる。
その代わり「板持」と書いてあるところを目指してみました。

草木に浸食されそうな舗装歩道を歩いていくと傍らに廃屋。
ここが、板持集落。

非常に大きな井戸もありました。
写真ではまず分からないサイズ感。
これだけ大きいとこれ一つで集落内の水を賄えそう。

探索できそうな廃屋があったのでちょっと入らせてもらう。

残っている物で離れた年代が分かりそうです。
大体昭和中期頃?

最後は島の南側、「浜集落」へ。

ここは平地なのでお年寄りも生活しやすいためか、高見島でもほぼ唯一ひとけのある地域。
佐柳島のような両墓制様式の墓も残ります。

猫もいるけどこちらは観光客に甘える習慣がないので、近づくと逃げちゃう。

帰りのフェリーの時間まで、青空の下しばし時を過ごす。
船のエンジン音以外には鳥の鳴き声くらいしか聞こえてこない……

山容が特徴的な高見島。

秋の柔らかい光の下で過ごす過疎の島は、切なくも浄土のような落ち着きがありました。

旅行記

Posted by YU