アンリアルライフのクリア後感想――文学的で雰囲気の良い謎解きアドベンチャー

2020年に発表されたインディーズゲーム、アンリアルライフ(Unreal Life)の感想を書きます。
ピクセルアートの世界を少女が旅するアドベンチャーゲームで、第24回文化庁メディア芸術祭エンターテイメント部門新人賞を受賞しています。
基本的には簡単なパズルを解きながら進んでいく謎解きゲームであり、様々な演出でストーリーを楽しむ文学作品でもあります。

10時間以内でGoodEndingまでたどり着けるこじんまりとしたゲームですが、その結末にはプレイヤーの心に染み入るものがあるでしょう。

やりこみ記録

実績制覇

全制覇でプレイ時間は約10時間ほど。
自由度が高いわけではないので、チャプター毎に少しだけ寄り道していけば集まっていくはず。

ただし隠し実績だけは別。
合わない鍵でロッカーをガチャガチャし続けることとか、ビームの隠しコマンドってどこかにヒントあったっけ?
これらはネットで調べないとまず無理でした。
あの部屋で見られるものは一応「真実」扱いですが、まあただのおまけみたいな裏設定で、正史ではない気もする。

感想

青暗い静かな雰囲気は「OneShot」で、自壊的な演出とミスリードと己の弱さを克服していくのは「Omori」で、真実の明かし方は「Undertale」のような、様々なインディーズゲームに影響を受けたであろうインディーズゲーム、といった感じ。

不思議の国のアリスのように、幻想的でアンリアルなキャラクターが出てくる世界を、少女が旅する。

謎解きの演出は悪くはないけど、難易度は非常に簡単。
詰まることも詰まりそうになることも一回もありませんでした。
ホタルノニッキみたいにシビアな難易度でも良いのよ?😏(ニチャア)

短いゲームですが、会話ログ、ストーリー、ヒントをすぐに振り返られるユーザビリティには工夫が見られます。
「わたしの考え」なんかストーリーが進むにつれて大量に増えていくというのに、よくこんなに項目をまとめられたものだ。

 

作中では現実に対するアンリアルな世界を、一時しのぎかつ逃避先として描かれています。
「現実に戻る」がこのゲームのエンディングになるわけですが、アンリアルを捨てるべきものではなく「価値ある世界」とはっきり表明しているのは、何だか肯定に力強さがあって良かった。
そりゃまあ個人でゲーム制作するような作者が、アンリアルを否定するようなことは言わないか。
というか最近はもう「ゲームなんか子供らしいものやめなさい」とか「現実に戻りなさい」なんてことを言われることも無くなったか?

弱い自分を受け入れ、少女は成長し、そしてまた春がやってくる……
日本の物語としては非常に王道ですが、その王道はやっぱり気持ちが良いね。
スタッフロールの歌と街並みを見ていると、「ゲームにはゲームにしかない感動があるよな」としみじみとつくづく実感する。

良い雰囲気だよ。アンリアルにも、リアルにないものがある。それを求めて今も私は、ゲームをしている。

市販ゲーム

Posted by YU