森薫拾遺集 感想

森薫拾遺集   作 森薫
 「シャーリー」「エマ」「乙嫁語り」で有名な森薫さんが過去に描いた短編漫画や、連載合間に描かれた各種イラスト、作品に登場した小物などへのこだわりなどを描いたこの単行本についての感想を書いていきますよ。
 「拾遺集」という言葉は初めて聞くので調べてみると、古今和歌集に選ばれずに漏れたものを集めた「拾遺和歌集」の略称だそうな。つまるところここでの意味は、森薫の各3作品の単行本には載っていない作家・森薫としての活動をまとめた、っていうような感じかな。まあとにかく、これは森薫さんの一里塚ということで。

森薫拾遺集 (ビームコミックス) 森薫拾遺集 (ビームコミックス)
(2012/02/15)
森 薫

商品詳細を見る


IMGP4082_サイズ変更_サイズ変更 この単行本では前半が短編集、後半が色んなイラストや森さんの趣味的な小物解説や連載作品の小話が載っているわけですが、各短編では森さんの趣味や性癖が全開でしたわ…。
 エマの後書きとかでもわかるようにもちろんメイドへの愛情は見られますし、他には眼鏡っ子、バニーガールや畳と水着、セクシーなお尻とか…。男として、むっちりした肉感とかに対してはかなりのこだわりが見えましたし「エロい」とも感じたのですが、でも何か「エロい」というより「フェチズム」とかそういう言葉のほうがしっくりくるんですよねえ。言い換えれば、芸術としてエロい?
 こういう狭く深いこだわりとか、女性の美しさに対して純粋であるというのは、一人の男として尊敬に値します。作者は女だけれども!!
 
IMGP4083_サイズ変更_サイズ変更 他には連載作品のイラストなんかもあって、ファンにとっては普通に良いものです。単行本に載っていないものでも変態レベルの描きこみ行うだなんて…、マジ森さん絵を描くの好きなんだなぁ。
 サイン会のペーパーだとか他作品紹介漫画もなかなか面白いです。マジ森さん、変態なのにちゃんと社会人的行動も出来るから素敵です。ちゃんと謙虚な挨拶出来るところとか。
 後はシャーリーやエマの時代の小物解説ページもすごいものでしたわ。コルセットと暖炉があるのですが、こんなにこだわれるものだとは知りませんでした…。しっかしよくこんなに情報集めたな~。漫画を描くのが好きなだけでなく、色んなものを調べるのも好きなんでしょうね。そういうところも尊敬に値します。
 というわけで、作品のみならず人間的にも面白い森さんの一里塚となっているのが、この「森薫拾遺集」。俯瞰的に見ればこだわりのある人間の生き方の素晴らしさとかにも気づかせてくれます。
 次の一里塚はどんな感じになるのでしょう?エネルギッシュな森さんですから、成長したり変化したりして読者を飽きさせない軌跡を描くことでしょう。

漫画

Posted by YU