変ゼミの感想―ソフトな絵柄でハードなプレイとソフトなオチの漫画

「変ゼミ」は2006年から2015年にかけて、モーニングツーで連載、全11巻の単行本が発刊された漫画です。

全巻手に入れて読み通したので、感想を書いていきたいと思います。

変ゼミとは、変態生理ゼミナールのことで、とある大学のゼミ内の教授や学生をメインに進行していくコメディ漫画(のはず)です。
主人公は、ゼミ生のコムギに惹かれて何となく入ってしまった、ごく普通の松隆(以下、まったかちゃん)。

1巻から尿だの糞だのと、「タブーって何スカ?」と読み進めていくうちに分からなくなるほど、極めて下品なことが数多く登場する漫画で…
「NTR?やば~い(キャッキャ!)」程度のことで変態を自認している人間が読めば、本気でドン引くでしょう。
いやほんと、観察者役・読者役のまったかちゃんの普通可愛さが無いと、リベラルな男の自分でもキツイっす!
想像してごらん、まったかちゃんがいない変ゼミを。
淡々と変態性を発露していくゼミ生たちを。
…ただの気持ち悪い漫画だわ。(田口が代表するおじさん構文も)
まったかちゃんが読者役に徹してくれているからこそ、ギリギリコメディ漫画の範疇でいられているんだなと思います。

シンプルな絵柄ですが手抜きとかそういうのは感じられず、良い塩梅です。
ていうか手の込んだ絵で変態性が描かれたら、それこそジャンル変わってグロテスクホラーですから。

基本的に1話完結でソフトなオチがつくものばかり。直接繋がる話は少なめ。
個人的には、1話完結のようなお話のほうが面白かったですね。
田口と蒔子の関係や、加藤のエピソードとかは複雑に描いているし尺も取っているけど、割に面白いかと言うと、微妙…
どうせシリアスを入れたいなら、教授が話すような変態たちや変態行為に関する社会学とかをもっと掘り下げてほしかったなとは思う。
含みを入れたりして作者もそれなりに深く物事を考えられる頭をしているんだろうから、学問的なことも出来たんじゃないかと思うんですがねえ。

コムギの「(民法上の)祖父が(血縁上の)父」は本物のタブーのような作中で描かれていますが、個人的にそこまで衝撃を受けることでも無かったです。
でも、あまり掘り下げられることはなく。
ちょっと惜しいかな、ここは。
おかげでコムギの謎がカタルシスが得られるほどには明かされなかった気もします。

まあ、世の中にどれだけの変態が存在するかを垣間見て、溜まった気持ち悪さをまったかちゃんで中和できるような人になら、おすすめ出来る漫画ということでしょう。
そう言えば、アニメ初見の人たちが「マジで気持ち悪い」とドン引きしていたな…
本当、万人向けではございません。

漫画

Posted by YU