東京赤ずきん 総括

いつもは物語全般を考慮した感想を書いていくんですが、
今回は分かりにくかったラストシーンの考察もしようと思います。


「その頑なに閉ざした心が、逆に世界を開く・・・鍵になるのさ。皮肉な話だろう?」
 
 この言葉はセオスがアスタルテに剣で刺されているときに言った言葉です。この中の「頑なに閉ざした心」は、アスタルテがセオスを受け入れない、愛していないという心情のことでしょう。そのことが世界を開くことになるというのはどういうことでしょう?
 「世界を開く」というのは二人だけの世界を作ることかもしれません。後の台詞を読めば。しかし結局、その頑なに閉ざした心によってルーポは死に、セオスの野望を打ち砕かれることになります。う~ん、ますます意味が分かりません。
 鍵というのですから、頑なに閉ざした心が利用されるのは、ルーポに取り込まれるまでのことをいっているのでしょうか。もしそうなら、その心によってセオスがアスタルテの中へ入ることができた、と考えられます。
 セオスは天使です。一般的には善の立場です。そんな彼が何の咎も無く他人を傷つけられる、というのはあまり考えられません。つまり彼は、もしアスタルテが攻撃してきたならばそのことに対して反撃を行うことができる、というような制約でもあるのでしょうか。勝手な推測ですが、このぐらいまでしか考えられません。
ルーポの中の世界
 ルーポに取り込まれたセオスとアスタルテ、そこには死んだはずの人たちがいました。彼らは一体何なんでしょうか?
 ルーポに取り込まれたということは、肉体を失い精神体になったということでしょう。だから死んだはずの人たちがいたのかな?あそこはあの世?それともただのアスタルテの夢みたいなもの?もしくはセオスが見せたもの?それならなぜあんなものを見せたのか?全く分かりません。
セオスはどうやってアスタルテに受け入れてもらうつもりだったのか?
 彼の計画の最低条件、それはアスタルテに愛されること。失敗した理由は何でしょうか?
 彼はアスタルテの戦闘からずっと、余裕の素振りを見せていました。しかし彼女とのセックスシーンの思い出で、拒絶されてから焦りを見せました。その後はアスタルテの意志の力で野望を打ち破られました。
 ということは、彼は彼女とのセックスシーンを見せることによって――愛情を思い出させようとしたのか――彼女の心が傾くとでも思っていたのでしょうか。 もしそうなら・・・セオスはただの空気が読めないナルシストだった、ということがわかります。本当にナルシストだったか・・・
全体の感想
 最初は本当にグロとエロでしたが、物語が進むにつれて物語性というものがでてきました。物語性といっても、結構シンプルなものでしたが。しかし、複雑怪奇にならなくてよかったとも思います。そのほうが話の根幹というものが分かりやすいですから。
 ここで言う根幹というものは、復讐と痴情と親子愛、ねっ?簡単でしょう?まあ別に復讐やめましょうとか、男女のもつれは怖いとか、親子愛は大事とか、そんなテーマはありませんが。じゃあこの物語で作者が言いたいことは何なのか、というと、実はいいたいことなんてなにも無かったのでしょう。作者はただ物語を書いた、この美しくも悲しい物語を。でいいんジャネット。
前半感想
後半感想

漫画

Posted by YU