ルサンチマン4巻 感想&総括
雑記
クリスマスがやってくる~…
日本人が最もアレをする時間帯がやってくる~…
中学校のときに好きだったあの子も乱れる時間がやってくる~…
4巻&総括
ルサンチマンは4巻で最終巻。漫画としては短いかもしれませんが、代わりに内容が濃いので満足する出来です。絵柄も個性あって綺麗な出来ですし、ストーリーも展開から収束まできちんと描ききったしね。
一番最初辺りにたくろーが仕事するシーンがあるんですけどね、彼はまだ30歳なのに周りのおっさんたちと混ざってもなんら違和感の無いほどすごいヒゲデブハゲです。だのに仮想現実では月子とSEX三昧ですからね。この世界ではそういう男がそういうことをしているのはわかっているんですが、なんかかなりむかつきます。マジSHIT!だぜ。
しかしそんなこいつに長尾が迫る…。何であのときたくろーとキスなんてやったんだろうか?月子への嫉妬?いろいろあって惚れてしまったとか?女心はようわからん!
そしてたくろーと長尾が結ばれたことで、月子はどうにかしてたくろーをもういちど仮想現実へ取り込もうとします。「MOON」の力を使って。元々この仮想現実を運営していた「ノア」は神崎が死んで力を失いましたが、代わりに「MOON」に力が受け渡されることになりました。そしてその封印は彼女の処女幕の奥にあったので、たくろーとSEXすることにより彼女は力を手に入れることが出来ました。今までは力を使っていなかったのですが、ここにきて遂に使うことになります。「力」とは、この世の全てのインターネットはこのアンリアルを利用しているので、その世界を管理運営する力があればインターネットで繋がっているもの全てを操ることが出来るのです。神崎が死んで髪の色が灰色から黒色に変化したのは力を受け継いだから、そして灰色に戻ったのは力を発動したから、というビジュアル的な変化で彼女の力の変化を見せているのでしょうか。
月子は江原の甘言に乗って現実世界の全てを、核のボタンを操作することによって破壊することを決めます。っていうか核のボタンは絶対手動であるべきだろうに…。まあいいか。月子はたくろーのDNAを使って仮想現実でたくろーのクローンを作り、そして後で仮想現実内のたくろーの記憶を書き込むことによって月子だけのたくろーを作り上げることにします。
作者の死生観ってどんな感じだろうか?この漫画内では仮想現実内でクローンを作って現実のたくろーを殺せば、クローンのほうが本物となるようです。そりゃまあ月子にとってはクローンでも本物は本物なんでしょうが、現実のたくろーにとってはやっぱりそれはただの別人でしょう。クローンの肉体と記憶を現実と全く一緒にしたって、それは周りの人間から本物に見えるだけでたくろーの主観で考えれば別人です。つまり仮想現実内に行くために現実で死んだって、やっぱりそれは問答無用でただの死ですしね。私の死生観はこのようなんですが、作者の死生観とはやっぱり違っているのかなあ。
最強の力をもっていそうだった月子ですが、アメリカのハッカーによってウイルス感染されることになります。それによって月子の体は崩れていくことになり、たくろーはそんな彼女を見て心中しようとします。たくろーはなんとか生き延び、月子は仮想DNAを残して消え去ることに…。
月子の仮想DNAを長尾に使って、現実に月子のクローンが生まれることになります。もちろん彼女には仮想現実内の記憶は無いのですが…彼女がたくろーと会ったときに感じた不思議な懐かしさ、そして彼女のその後の決断は、4巻表紙に表れていますね。
この漫画を読んでいるときは、仮想現実と現実を行き来しまくるので本を読み終えて私の実際の現実に戻ったときにはかなり変な感じになりました。なんか筒井さんの漫画の「リセット」みたいに現実とゲームを区別しにくくなるような感じがありました。もし現実にこのようなゲームがあれば、もっとヤバイ感じになるんでしょうね。プレイのし過ぎで死ぬ人間出てきまくるでしょうね。
たくろーはヒゲデブハゲでどもりなおかげで、これまで女の人と付き合うきっかけなんて一切無かったのですが、だからこそ初めての愛にあんなに死ぬ気にまでなれたのでしょうね。なんだかんだでやっぱりあいつは純粋な野郎だったってことですか。ドラマを作れるほどに。
仮想現実内の愛って本当の愛と呼んでも良いんだろうか?今はまだエロゲーやギャルゲーの中の女の子に本気で恋したって、現実じゃあまず間違いなく馬鹿にされるだけですが、当人にとっては現実の「愛する」ということとは大した違いはないと思いますがね。確かに彼女らは現実には存在しない、でも人間の心自体現実にあるようなものじゃなくてもっと抽象的な次元にあるんです。ですので心の次元のレベルを加味すれば、どんなものにだって愛する資格はあるし感動してもいいのだと私は思います。
鉄腕アトムなどの作品によって、そういうロボットに心を向けることは日本ではあまり拒絶されてはいませんが、恋愛となるとやっぱり違う。その違いって何?「人工物と恋するなんて非生産的だ、生物として失格だ」という人間もいますが、生物って偶然の変異と生存によって進化してきたので実はどんな変異だろうといいのです。変異はどんな種類の生物にも起こるし、変異によって死ぬ生物もたくさんいます。そういうことを考えればあらゆるものも「生物として正しい」のです。
話が脱線気味ですが、要は仮想現実でも愛はやっぱり美しいと言いたいわけです。
ルサンチマン 4 (ビッグコミックス) (2005/03/30) 花沢 健吾 商品詳細を見る |