ハツカネズミの時間 4巻 感想&総括

雑記
 あるゲームで一番最後辺りでアイテム取り逃し発覚。
 もうここまでやりこんだなら別にいいかな、と思おうとしてもやっぱりすっきりしないので、結局最初からやり直すことに。
 セーブは5時間もしくは10時間ごとにデータ分けたほうが良いかな?


4巻
人が生きる場所は? ハツカネズミの時間は、4巻が最終巻。この巻で物語としては決着がつきますが、登場人物たちの感情全てに決着がついたというわけではなかったように思えます。物語は終わっても、人生は続くという意味で。
 梛の兄の檀は、学校の管理者です。檀は父の期待に応えようと努力してきたし「いい子」であり続けましたが、それでも父は梛のほうを気に入りました。努力家で真面目な檀よりも、生きる力と才能に溢れる梛に期待を寄せていました。
 檀はそれが気に入りませんでした。なので、彼は梛が自分や父の近くに来ないことを望んでいました。梛も彼らと関わりを持つことは望んでいませんでした。しかしそれでも父がしつこく梛と接触しようとしたことにより、檀は父に恨みのような感情を持ったようですね。
 檀は父が心不全で苦しんでいるとき薬を渡すのを躊躇し、それが決定打となったのかはわかりませんが、父は死にました。それにより学校は解体。生徒達は別の学校に転校したり就職したりしました。
 梛は梛で体が弱り、寝たきりの状態になってしまいます。桐子は彼についていくことを決めます。
 桐子は梛のことを誰よりも愛していたようです。槙は桐子に好意を持っていましたが、入る余地なんて一切無かったようですね。それと同様に、桐子も梛に入る余地なんてあったのでしょうか?梛は桐子のことを「妹みたいな存在」と言い切っていますし、桐子に対して特別な好意を持っている素振りをみせません。むしろ桐子からの好意を煙たがっている様子。
 それでも桐子は梛の側に居続けようとします。彼女にとって梛はたった一人の家族ですし。しかし桐子の梛への好意って、「恋」に入るんでしょうか?この辺りの想いってかなり微妙なんですよね。まあおそらく、そのような人間の複雑な感情を描こうとした作品ですから、この感情は~である、と断言せずとも良いでしょう。そのうやむやなところがこの漫画の魅力になっていると思いますし。
総括
 この漫画には「ハツカネズミの時間」といういかにも実験動物っぽい名前で、実験動物たちが反逆するとかそういう話に想像しがちですが、作者が描きたかったのは全くそういうものではないようでしたね。実験施設を舞台として、そこに渦巻く特殊な人間関係、を描きたかったのではないでしょうか。
 茗は槙が、槙は桐子が、桐子は梛が、そして梛の兄である檀には父が必要でした。どの人も大切な人のためになら自分の人生が強く影響されてもいいと考えているという感じです。自分には頼れるものが少ない、だからこそ親密な人に対してはさらに親密になっていくのでしょうか?そうしていくうちに、自分は大切な人から逃れたいと思っても逃れなくなってしまうということも描かれていると思います。
 しかし、人間は何かから逃れたいと漠然に思って漠然とした希望を抱いても、結局は上手くいかないこともあります。変わりたいと望み、変わるべきだと考えたとしても、このままのうやむやな関係や環境のほうがいいんじゃないか?そういう疑問を持ちながら、今日も人間達は決断を下しながら自分の世界を変えていくのかもしれません。
1~3巻 感想

ハツカネズミの時間 4 (アフタヌーンKC) ハツカネズミの時間 4 (アフタヌーンKC)
(2008/04/23)
冬目 景

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Posted by YU