2010年八ヶ岳縦走 5日目 オーレン~赤岳~編笠山麓
2010年9月4~8日にかけて、八ヶ岳北の端の蓼科山から南の端の編笠山までの八ヶ岳全山の稜線上をずっと歩きとおしました。
5日目はオーレン小屋を出発し、硫黄岳、赤岳を経由して編笠山の麓まで。
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5日目
台風が近づいているらしいので、今日は歩けるところまで歩くことにします。
まずはオーレン小屋を早朝に出発。ここから稜線に登るには、夏沢峠経由か、峰の松目への道から行くことができます。オーレンのテント設営場所が峰の松目への道に近かったので、こっちから行くことにしました。
樹林帯の中をゆっくり登っていくことになるので最初は展望はありませんが、標高を上げるにつれて樹の密度が下がり眺めが良くなってきます。
稜線に乗ると赤岳方面にかなり展望が良くなります。このとき台風が近づいてきているからか、冷たい風がかなり強く吹いてきて、歩きづらかったです。
稜線をさらに登ると、硫黄岳です。山頂はかなり広くて足場も良いので休憩するのに適しているのですが、このとき風がさらに強くなってまともに立つこともできないほどだったので、休憩せずにすぐに出発。ちなみに硫黄岳の展望はかなり良く、蓼科山から権現岳まで見渡すことができます。
硫黄岳から少し下りますが、このときも西側からの風が強かったのでストックで何とかバランスをとりながら歩いていきました。風が強すぎるせいか息もしづらかったです。
かなり疲れる山行ですが、硫黄岳以南の道は展望良く、まさに雲上の道と言って良いでしょう。富士山も見えるので面白いです。
硫黄岳から横岳までは広い砂利道です。それ以南は少し道が細くなりますが、鎖やはしごが整備されているので問題ありません。地形図ではかなり険しそうに見えますが、険しいだけで進むのが難しいというわけではありませんでした。
道は稜線上を通っていますが、遠くから見ても道がどこを通っているのかはっきりわかるのは面白いです。特に赤岳への登りの道は、まさに登山道といった感じです。
赤岳直下には赤岳天望荘があり、狭い稜線上にあるのに結構大きいです。
赤岳への登りは急登で砂利道なので、少し滑りやすいです。
赤岳山頂(2899.2m)には赤岳頂上小屋が立っているので外は少し狭い感じです。が、小屋内で休憩が出来るらしいので、ピーク時で登山客がいっぱいになっても多分大丈夫でしょう。私は中で休憩はしなかったですが。
このときもやはり風が強かったので、なんとか風をしのげる場所を見つけて休憩。標高が高くて風で息がしづらかったからか、このとき少し気持ちが悪くなっていました。若干高山病のような感じがあったので、標高を下げるためあまり休憩せずに出発。
赤岳から南のキレットまで下っていきますが、小さな石の多い勾配のきつい道なので、スリップしそうになったときがかなり多かったです。キレットまで一気に500mほど下りますが、結構疲れました。下る途中に権現岳への道が見えますが、かなり遠くに見えます。
キレット小屋はテントサイトあり、トイレありですが、水場が少し離れています。今日はここでテント張るかこのまま進むかかなり悩みましたが、今日は風が強くて気圧が下がっていそうなので明日の天気は悪い可能性がかなり高いし、風で体を冷やされながら歩いてきたのであまり疲れてはいなかったということを考慮に入れた結果、このまま進むことに決定。疲れ果ててしまったら、小屋で素泊まりすればいいしね。
権現岳への道を歩いているときはガスっていたので全く展望はありませんでした。人にもほとんど会わなかったので、自分一人で黙々といつ登りが終わるかわからずに歩き続けました。人の気配が一切ないのでかなり孤独でしたが、なかなかストイックな山行を楽しめました。
権現岳近くにはかなり長いはしごがあり、体力がなくなってきた自分にとってはかなりつらかったです。ザックが重く感じ休憩もしにくいので、このまま体力尽きて滑落してしまうんじゃないかと少しだけ恐怖を感じました。
自分に鞭打ち、ようやく権現岳(2715m)に到着。三又路に権現岳山頂標識が立っているのですが、本当のピークは三又路の南東方面にあります(上写真→)。が、そこまでピークにこだわっていないし体力も少ないので、ピークには行かずにそのまま通過。南西側の編笠山方面に行きます。
権現岳からは若干ガスが晴れてきて、風も弱くなってきて、清々しい山行が戻ってきました。編笠山麓の青年小屋まで下って行きますが、途中にはすり鉢状の編笠山の山容や、荒々しい岩肌をむき出しにした権現岳の道など、見所はあります。
青年小屋は広く、テントサイトもあります。水場は少し離れた場所のようです。
ここでもう一度悩むことにしました。このまま下山するか、青年小屋に泊まるか。このとき、編笠山山頂はガスっておらず、体力はまだあり、時間もコースタイムを過ぎても大丈夫なほどあったので、このまま下山をすることにしました。しかしこのときでもまだ体力が余っていたのは、自分にとっても驚きでした。縦走装備じゃあ8時間歩ければ良い方なのに。
編笠山への登りの最初は大きな岩の上を歩いていくので少し危ないです。が、それを過ぎると樹林帯の道になり歩きやすくなります。これが最後の登りだ!と自分に渇を入れて、八ヶ岳最後の山である編笠山山頂を目指します。
そして無事に、編笠山山頂(2623.7m)に到着。
遂にここまでやってきたー!!
そう叫びたいほど、山頂の感動はひとしおの物でした。八ヶ岳北の端から南の端まで縦走を完了したその達成感は、何物にも変えがたいものでしたよ。その達成感をいっそう際立たせてくれるように、編笠山の展望は良く、甲府盆地や富士山、雲の中に隠れていたり上にあったりする山々や、北には今日歩いてきた赤岳や権現岳を見上げることが出来ました。特に、山では展望を無くす雲が、逆に美しい景色を作り出してくれていて嬉しかったです。
山頂でしみじみと達成感と感動を味わい、下山開始。これから1000m以上下るので、足が心配でした。
山頂近くは岩だらけの道なので歩きづらいですが、樹林帯に入ると一気に歩きやすくなります。これからずっと樹林帯の中を下っていくことになりますが、傾斜が一定になるよう道がつけられているし、少しやわらかい土の道なので、全く危険な箇所が無いし足も痛めにくい道だったので、ガンガン下っていくことが出来ました。いつも下りがずっと続くと足が痛くなるのですが、このときはこれまで足を酷使してきたのにもかかわらず、ほとんど痛くなりませんでした。
展望は無い道ですが、ブナなどの林が美しく、歩いていて気持ちが良い道です。
下っていくと段々傾斜がゆるくなり、さらに進んでいくと林道にでます。「信濃境駅へ」という看板が随所に立ってあるので、その看板に従って下っていきます。そうすると不動清水という水場に到着します。ここにはベンチやトイレなどがあり、パイプから冷たい水が流れています。今日はここでテントを張ることにしました。もっと頑張ったら駅まで歩いていけるのですが、もういい加減疲れてきたのでキャンプです。
テントの中で小さな祝勝会を開きました。といっても、行動食や晩御飯を好きなだけ食べた、気持ちだけのものだけどね。
行動時間は10時間25分。
累積標高差は、上り1200m、下り1980mくらいでした。
6日目(編笠山麓~信濃境駅),総括が最終回。
八ヶ岳 (2008/06) 信濃毎日新聞社編集局 |