2023.06.03 香川県の伊吹島へ

6月3日、晴れの休日。

またもや海が見たくて、離島に観光に行くことにしました。
この日にやってきたのは、香川県観音寺市の沖合に浮かぶ、「伊吹島」。

讃岐うどんの出汁にも多く使われる『いりこ』の産地として有名で、漁期が始まる時期でもあるため結構賑やかでした。
人口は約500人、最も多い時で4,000人近くもいたようで。
過疎化は進んでいますが産業が確立しているので、若者も見られて活気も感じる島でした。


 

観音寺港にバイクを置いて、往復乗船券(1,200円)を購入して搭乗。

基本的に島民も徒歩で行き来しているようです。

 

港すぐには「さぬき百景」の標識。

原付きバイクが大量に停まっており、島民の足となっています。
迎えにやってきた軽トラの荷台に乗っていく人も多し。

 

海岸線を歩きます。

海岸線にはいりこ加工場が並んでおり、働く人も多数。
全てのバイクがノーヘルなのは少し驚く。
鍵も挿しっぱなしで駐輪しているようで。

 

時折道脇で見かけるのがミニ四国八十八ヶ所の石像。
どれもちゃんちゃんこが掛けられて掃除はされています。

数時間もあれば簡単に一周できるこの島、島民もたまには歩いて巡って、故郷での生活に思いを馳せているのでしょうか。

 

お堂あり。
四国では珍しくありませんが、やはり真言宗です。

 

実はこの道、公道です。
てっきり工場の敷地内に入ってしまったのかと思いましたが、カーブミラーもあるので公道です。

多分、クレーン車とかそういう高い車が通らないから黙認なんでしょうか。

 

伊吹島は港以外、海に接する海岸線は断崖となっています。
上部は緩やかな台地上になっており、住居を始めとする生活施設は台地上に位置しています。
代わりに、海岸線には船といりこ加工場。

こんな小さな島でも職住分離されているのが、他の島と比べて特徴的なようです。

 

海岸線から台地へ登っていけば、周囲が海でもあるためすぐに景色が開け、高度感も出てきます。
瀬戸内の、遠くに浮かぶしまじま。

 

北の、神社とかがあるエリア。
ここには民宿もあります。池や庭木が良い感じです。

道中、ビワがあちこちに成っており、腐るに任せるものも多かったので、少し拝借いたしました。
美味しかったです。

 

せっかくだから、「波切不動尊」というものを見に行きましょう。
少々草が伸びてきている遊歩道を通って断崖の中腹へ降りていきます。

 

波切不動尊は小さな洞窟の内部に鎮座しています。
この神秘的な洞窟に、海難防止の願いを島民たちは込めたようです。

 

波切不動から台地へ再度戻ります。
畑が作られており、静けさと空の広さが最高です。

 

伊吹島最高峰には「鉄砲石」と呼ばれるものが位置してます。
由来は色々。

 

山頂近くに滝宮神社というものもあります。
畑の真ん中に石が積まれていますが、これは天狗に身体を休める場所を提供するためのもののようで。
伝説通り残っていることもさることながら、今でも普通に畑として使っているのが何か歴史を感じる。

 

この島も瀬戸内国際芸術祭の影響があります。
木の日陰になったところにハート型のベンチ。

その向こうには石鎚山まで連なる法皇山脈。
海の向こうの街を見ていると、島民から見ればこの海は、まるで自他を分かつ境界線のような。
やっぱり島から出ると私は「他者」となり、島に帰ってくればその島全体が「自己」のような「家族」のような、そういう印象ってやっぱり持つんだろうか。

 

この日の前日は線状降水帯で大雨だったというのに、この日は雲ひとつない快晴。
だけど台風一過とは違って、水蒸気が多いのか霞がかってます。

海を眺めるとくねっと曲がった模様も見えます。

 

住宅地を散策しましょう。
漁師町、斜面が多い離島にありがちな、細道の多い宅地です。
産業が確立していると言えど過疎化も進んでいるので、空き地も多いです。
緑が眩しい。

 

とりあえず国土地理院に描かれている記号を目印にして、色々散策します。

↑は寺院記号(卍)を目指してたどり着いた場所。
お堂や祭具が保管されてたりしてます。

島で最も大きな神社、「八幡神社」へ。
そう言えば6月は夏越の大祓でしたね。
その準備なのか日常業務なのか、掃除している人が多かったです。

神社内部は思いのほか立派。

 

どこかの大学が企画?したらしい休憩所。
木の劣化度合いがまだ少ないので、最近建てられたものかも。
瀬戸芸の一貫?

 

地域によくある、戦時の忠霊塔。
伊吹島のは妙に綺麗に見えたのでパシャリと記録を残す。
戦没者の名前を読んでいると、同じ苗字が多数です。

島で唯一?の有人の寺、泉蔵院。
この辺りは台地の中でも少し上の方なので、台地を見渡すのに良い場所です。
ぜひお立ち寄りください。

 

適当に小中学校を目指す。
私は、どんな小さなものでも、峠という地形が好きなのだ……
この向こう側を想起させるものを。

 

小中学校道中にあった資料館に入ってみる。
ふらっと立ち寄ってみたけど、……ここは、良い!
なぜか民俗資料館があれば必ず寄ってしまう私から見ても、飽きずにゆっくりいられる!

かつての幼稚園を再利用したのでしょうか。
教室や体育館、グラウンドらしきものが残っています。
昔ながらのレトロでかつてを偲ばさせてくれる木とガラスの建物も、良い雰囲気出してます。
島の生活環境、漁業、民俗が集まっており、観光客なら必訪です。

 

なかなか立派な伊吹島小中学校。
6月始めだというのにもうプールが綺麗です。
「真夏の始まりは?」と聞かれたら「プールが綺麗になった時」という、粋な答えが好きです。

 

神社すぐ前の公民館。
観光客も立ち寄って良さそうだけど入りはしませんでした。
中には少し本もあって、公民館の名の通り人々がフラッと集まる場所なんでしょうか。

今日は島に8時15分に着いて、帰りの船は13時30分。
島内で5時間も暇を潰せるか……とも思っていましたが、時間が経つのが早くて意外にちょうど良い時間配分でした。

最後の数十分は港近くのお堂や公園で読書や海を眺め、船を待ちました。

 

伊吹島、それはいりこを主産業として老若男女が働く、台地状の島。

瀬戸内の島々はかつては潮待ち、風待ちの場として発展した場が多いですが、この伊吹島ではそのような痕跡が少ないように見受けられました。
昔から漁業一本だったのでしょうか。
最盛期は4,000人もいたからサービス業もあったんでしょうが。

 

帰りの船から。

現在は観光より産業に振っているから昼ごはんを食べる場所とかも少ないですが、その分産業の活気というものが見られました。
観音寺の街に着いてから昼ごはんを食べました。
「柳川製麺所」といううどん屋ですが、出汁が妙に旨い……これが伊吹いりこの真髄か?

そんなわけでこの日の離島旅行も終わり。
青空の下、歩いているときだけ私は、無意識の望郷的な幸福を得られるのだ。

旅行記

Posted by YU