イノセンス 感想

イノセンス   監督 押井守
 イノセンスは2004年に公開されたアニメ映画で、1995年公開の『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』の続編にあたるものだそうです。第25回日本SF大賞を受賞作品。
 ちなみに私は攻殻機動隊を見たことがないのです…。まあガチ続編ってわけでもなかったので、普通に視聴できましたが。


 「攻殻機動隊と言えば、多脚戦車のタチコマじゃね?」と思っていた私ですが、この作品でそのタチコマが出てこなかったために、wikipediaを見るまでこの作品が攻殻機動隊シリーズであることを知らなかったのです…。なので前知識は全く無しでの視聴、ということになりました。
 2004年に公開されていますが、CGがものすごいですね。そんなに重要でもなさそうなシーンでも思いっきり使用しています。特に、ピカピカの車体に映る周りの景色とかには、もうあっけにとられるレベル。他にはコンビニの商品の細かさとかも。銃撃シーンで飛び散る色々なものとか、すげえなあ!
 ビジュアル面は、ものすごーくこだわっているような印象を受けましたね。種々の機械と構造とかゴミゴミした街だとか色々。でもガイノイドの中身はあんな空っぽみたいなのは、どういうことなんだろうかとも思います。もっとメカメカしくてもいい気がするが…、いや、『人形』らしくしたとか?
 終盤のガイノイドとの戦闘シーンはなかなか真っ当にアニメらしい感じがありましたが、だからこそ面白かったです。上から降ってくるやつらは、マジ不気味で恐ろしいです…。
 演出に関しては、登場人物が多くの過去の偉人たちの言葉を引用して喋っているのが印象的でしたね。ちなみに詳細はwikipediaに載っています。よくこんなに言葉を探してこれたな、と感心します。が、視聴中には意味がわからないものが多くて多くて…正直普通の言葉で言って欲しかった。
 後、後半の祭りのようなシーンって一体どういう意味があったんだろう…。純粋に気味が悪くて悪くて…
 ストーリーのあらすじは、暴走したっぽいロボットの捜査を進めていく公安の二人の物語。最初は単に『ロボットの反乱もの』と考えたりしましたが、やっぱりそんな単純にはいきませんでした。
 続編モノですので「少佐」とか「ゴースト」とかのような単語は最初見たときはわかりにくかったですが、見ていくうちに大体わかってきますので、これ単体でも普通に楽しめましたね。
 
 全体的に、この作品では「人間」、「自己」、「人形」というようなことがテーマとなっているようでした。
 人間のようなロボットを作ることに比較的熱心な日本ですが、だからこそ、「どうしてそんなロボットを作ろうとするのか?」という疑問が意味を持ってくるように思います。実際、ロボット工学の皆さんはどういう意図を持って作ろうとしているんでしょうか。使い捨て出来て何でも命令の聞く存在、というわけでもなさそうだし。
 科学が発達し、神聖なもの全てを科学で証明でき、そしてそれを機械で代替出来るなら…。生命はDNA(RNA)の情報を伝達していきますが、ではその情報が生命の本質であるなら、もちろんそれも機械で代替できます。自己の全てが外部装置で表現できるようになったら、自己の特異性も無くなるのではないのか?そんな疑問がこの作品にあったように思いました。
 
 ラストシーンで、『人間』の意識を持たない子供が「人形になりたくない!」と叫ぶシーンは、この作品の根底にあるものに通じるもののようでしたね。そして、「人形に声があれば、人間になりたくない、と言うのではないのか」というセリフも。
 「Innocence」とは、日本語で「無知」「無邪気」「無罪」等を意味する英語です。これは何を意味しているのでしょうか。映画を振り返ると、その3つの言葉全てが、この作品に登場しているように思います。何か言語に変えがたいので、詳しくは書けません…。

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Posted by YU