2009年立山・薬師岳縦走 3,4日目 五色が原~薬師峠
2009年9月16日から20日にかけて、北アルプスの立山から薬師岳までの縦走記録です。
3,4日目は五色が原~薬師峠まで。
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3日目
ものすごく疲れた昨日に比べれば、今日の山行は楽なはずでした。実際半分ほどまではかなり順調でした。
今日の山行は、昨日に比べて山行時間も短いし、荷物の重さも多少は減らしたので体にかかる負担も少なくいので大丈夫だ、と考えていましたが疲労を考慮していなかった…。いつもなら一日たっぷり寝ていれば9割ぐらい体力は回復するんですが、今回は7割ほどしか回復していないような気がしていました。しかも、筋肉痛でかなり足が痛く、テント内では手で足を動かしていたほどでした。
北海道に行ってから筋トレを全くしていなかったのが原因の一つですので、非は自分にありますからろくに文句も言えません。重い足をひきずって今日の山行を開始します。
今日は五色ヶ原からスゴ乗越小屋キャンプ場まで行きます。五色ヶ原から薬師平までは下山ルートがありません。スゴの小屋の主人はどうやって荷物を運んでいるんだろうか…。やっぱりぼっかなんだろうか。さすが山男です。
今日の天気も快晴で、五色ヶ原は雲に覆われることは無く大変気持ちが良かったです。
五色ヶ原内ではずっと木道の上を歩いていくことになります。木道にしてはかなり長い距離歩くことになり、地図に書いてある鳶山までほとんどずっと木道です。私が歩いたときは朝露で若干湿っていたので、木道の上はかなり滑りやすいこともありました。しかし枕木もちゃんと付いているので、それを上手く利用していけば快適に歩いていけることが出来るでしょう。
キャンプ場から1時間ほどで見晴らしの良い鳶山に着きます。ここからだと五色ヶ原にある山荘も見えたり、東西の切れ落ちた谷越しにいろんな山も見ることが出来ます。
鳶山から急降していってコルまで来ると、今日の山行のターニングポイントである越中沢岳が見えてきます。鳶山と越中沢岳の間のコルからはかなり緩やかな道が続きます。岩でゴロゴロしていますが、基本的に歩きやすく傾斜も一定なのであまり疲れることなく一気に上っていけます。傍から見ると本当に山を登っているような感じなので、登山の醍醐味を楽しめます。
越中沢岳にやってくると、標高が高いだけあってかなりの展望を楽しめます。が、着いてすぐに西側からガスで覆われ始めて寒くなってくる始末。
もうここまで来ると五色ヶ原もかなり遠くに感じ、五色ヶ原山荘も点のように小さく感じます。まだこの辺りでは疲労は感じますが、それ以外の体の異変はほとんど無かったのですが…。
越中沢岳を南側に降りるのは、北側に比べて傾斜が急です。砂利気味の道ですのでスリップもしやすくてかなり肝を冷やしました。地形図ではただ急な傾斜なだけの道だと書いてあるのですが、実際は少し登ったりします。しかも鎖のついた結構危険なトラバース道もあり、油断をしていたら痛い目に会う可能性があります。私も危険な場所があることを予期していなかったので、身体的にも精神的にも余分に疲れました。
何とかスゴの頭まで来るともうここから樹林帯の中にあるスゴ乗越小屋の赤い屋根が見えてきます。しかしこの時点で右足の付け根がかなり痛くなってきて、ストックで右足をかばいながらでないと足が痛みで勝手に反応してしまうようになっていました。地形図ではここからはあまり昇り降りをしないように書いてありましたし、実際健康時にはあまりきつい道でもなかったのですが、このときの自分には大変でした。おそらく予定時間の2倍はかかったかもしれません。
文字通り重い足を引きずるような形でキャンプ場についた時は歓喜しましたよ…。キャンプ場は小屋の北側にあり、50mほど離れています。料金は500円。トイレは小屋内と小屋の外にあり、トイレットペーパーは付いてあります。水は小屋の玄関近くにあります。
キャンプ場に泊まっていたのは自分以外にもう一人いるだけ。樹林帯の中にあるだけあって、かなり山の中にあるような感じのするキャンプ場でした。
4日目
朝起きてキャンプ場から小屋のトイレに行こうとすると、まだ足が痛い!しかも足の痛みが昨日と比べてほとんど変わっていませんでした。ここまで重い荷物を持ってやってきたけど、次のキャンプ場に泊まってもまだ足の痛みが全く変わっていなかったらリタイアだな…と感じました。こんなことになるなら、もう少し山行日程短くして荷物も少なくして体への負担を小さくしておけばよかった…。
今日の山行予定は、スゴ乗越から薬師岳を通って薬師峠キャンプ場まで行きます。ガイドブックによると今日は昨日の山行に比べて1時間早い5時間ほどで着くはずだったんですけど、この足じゃあ絶対無理です。
昨日の前半は順調だったので休憩入れてもコースタイム通りにいけたのですが、後半ではコースタイムの2倍ほどかかりましたからね~…。
スゴ乗越から出発してまず間山を目指します。もう歩き出した時点で足が痛くなったのですが、ここは我慢して、8時間でも10時間でもかかっていいから薬師峠を目指します。間山までは登りが続きますが、少し歩くと足の痛みが引いてきました。しかし、歩き出して2時間ほどたつとまた足が痛くなって、それ以降ずっと足が痛くなりっぱなし。
歩いている間はつらいですが、少し止まって辺り見渡すと山肌には雲がかかって雲海がよく見えました。西側を見てみると、山間部にのみ雲があり富山市街辺りの平野ではほとんど雲が見られませんでした。見ていて結構面白かったです。
間山までは見晴らしの良い道を歩いていきます。ハイマツと高山植物が申し訳程度にあるだけですので、稜線上では気持ちのいい風が肌を撫でて通り過ぎていきます。通っている人もほとんどいないので、静かでかつ冒険している感じが味わうことが出来ました。
間山は名前がありますし三角点もあるのですが、北側から見ると山に見えるだけでその場所が周囲よりも高い山になっているというのではありませんでした。つまり、間山に来てもまだまだ登りが続きます。
登っていると、途中から大きな岩がゴロゴロ転がっている道になってきます。あまり平らでない岩も多くあるのでバランスをとりながら進まないといけないので、距離の割には体力と時間がかかります。地形図には標高のある小ピークが描いてありますが、一体どこだかわからないほど地形も少しわかりづらいです。
ガイドブックでは、薬師岳は北アルプスらしからぬ緩やかで大きな山なので北アルプス入門者にも最適、と書いてあったのですがなぜこんなに険しいんだ…。イメージどおりの北アルプスの道でしたよ。岩とハイマツと砂利で覆われた切り立った稜線の上を歩いていくなんて、マジの北アルプスですよ。
疲労困憊状態だったので北薬師岳間近ではてっきり、もう北薬師岳は過ぎてしまってこれが薬師岳かと思っていたら、本当は北薬師岳だったときは本当にがっかり。さらに身体的にも精神的にも疲れてしまいました…。
北薬師岳から薬師岳まではかなり切れ落ちた稜線を歩くことになります。最早薬師岳のイメージなんて遥か彼方に飛んでいって、手を使いながらよじよじ登ったり下ったりして薬師岳に近づいていきました。北薬師岳からはまあまあ近いように薬師岳が見えたのですが、普通に1時間半ほどかかりました。薬師が緩やかなんて詐欺レベルだ!
しかし頑張って薬師岳(2926m)頂上まで行きました。頂上まで行くと南側から登ってくる人が多く見えました。頂上にもそれなりに人はいましたし。
そういえばこの日は9月のゴールデンウィーク初日の土曜日。だから人が一杯いたんでしょう。これまでほとんど人に会いませんでしたから、いきなり人が増えて驚きです。
薬師岳南側はガイドブックどおり緩やかな道で、遥か遠くの道まで見えるほど視界も開けていました。砂利と石で斜面は覆われており、登山道はその斜面をぐねぐねしながら伸びています。段差は一切ありませんので、少し駆け足気味に降りても足を痛めることなくガンガン降りられます。足の痛さも降りているときは気にならなかったので、結構早く降りていけました。
薬師岳近くの薬師岳山荘では、コーヒーやカレーなどを頼めるちょっとした飲食店にもなっていました。ここからは薬師岳の圏谷群というのがよく見えることで有名らしいです。カメラ持った多くの人が東側斜面の写真を撮っていました。
山荘から下っていくと愛知大遭難ケルンというかなり大きなケルンが、薬師平に建っています。ここからは小さな沢を下っていくことになり、急で段差も多くて狭いので注意が必要です。しかし木々の間から薬師峠キャンプ場で泊まってあるテントが見えてくるので気分も高揚してきました。
薬師峠キャンプ場に着くと、連休初日のこの日に折立から登ってきたと思われる登山者がものすごく多くいました。まだ着いたときは3時半ぐらいでしたが、ほぼ全部の平らな場所はもう取られており設営地を探すのにかなり苦労しました。私のテントは山岳用ではないので前室が大きいのですが、今回は狭いので自己流で前室無しで設営しました。一応ハイマツの中に一人用のテントが立てられるほどのスペースがあったからよかったです。
キャンプ場は水、トイレありでサイトは石が多いので整地が必要です。しかしこんなに人が多いとは思いませんでしたよ…。
1,2日目
5日目&総括
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