『Steam・ゲーム版』シュタインズ・ゲート 感想
Steins;Gate
開発:ニトロプラス・5pb・MAGES
元は2009年にXBOX360で発売されたアドベンチャー(テキスト)ゲームです。
人気が出てその他のゲーム機に移植されたり、アニメ化や漫画化もされてます。
スピンオフ・続編も膨大で、その人気の高さが伺えます。
自分は、STEAM版をプレイ。
2019年のお盆休みに集中してやりました。
ゲーム内時間とリアル時間が合致していて良い感じ。
全実績制覇。
9割以上オートモード、攻略サイトを見たという条件で、総プレイ時間は40時間。
ゲーム全体・ビジュアルについて
前評判は「硬派な想定科学アドベンチャー」だったし、パッケージイラストとかも硬派だったので、かなりまじめな作品だろうなと思ってました。
で、プレイを始めてみたら、案外ギャルゲっぽさやネットネタの多いゲームでした。
秋葉原が舞台なだけあって、登場人物の大半はオタクですねw
SFとオタクは親和性高いから、このゲームをやってみたいと思う人なら大丈夫でしょう。
自分も9割以上のネタは理解してましたし。
ビジュアルは、淡い色合いになるエフェクトがかかっていて、特有の雰囲気がありますね。
ただ、全てのイラストが超綺麗というわけでは…ゲフンゲフン
あっ、オープニングはかっこよかったです。
あと、TrueENDの曲もすき。
元ネタ
このゲームのシナリオで核となる、というかゲームが出来上がった発祥は、リアルにあったジョン・タイター(wikipedia)でしょう。
自分はジョンタイターを知らなかったから、wikipediaを読んだ時は「こんなことがあったのか!」と驚愕。
本当にタイムトラベラーなのかは疑わしいところもありますが、単なる予言ではなくて理論を説明しているのが興味深い。
例え単なる演技であったとしても、SFの勉強をかなりしている人間なんだろうなと思う。
世界観について
ジョンタイターと相対性理論
ジョンタイターの語ったことをメインとして、他のタイムトラベル理論や素粒子物理学や脳科学を引用しながら、独自のタイムマシンを作るのがこのゲーム。
ワームホールを吹っ飛ばして戻したりで何とかタイムトラベル出来るとか、現実的には無理だけど理論的に可能な方法を調べまくっているのは素直に凄いと思う。
私みたいな素人は、日本語版wikipediaに書かれていることくらいしか理解できないよ…
ブラックホールとか相対性理論とかには今まで一切興味を持たなかった人にとっては、このゲームに出てくる理論はちんぷんかんぷんでしょう。
ちょっとだけ勉強した自分でも分からないこと多くあった…
ただ、Dメールとタイムリープマシンとかの理論は、フェイク情報が多く混ざっているでしょう。
そりゃ全部本当だったら現実でタイムマシン作れるし。
「想定科学」だから全部を信じちゃいけないのは分かるけど、どこからどこまでの理論が「ゲームだから」なのか判別が難しい!
そのくらい、SF的な考えが求められるゲームなんだろうな。
アトラクタフィールド理論について
タイムトラベルモノには、パラレルワールド、バタフライエフェクトとかの考えが必要です。
それらももちろんこのゲームを理解するのは大事ですが、更に大事なのはゲーム内理論の『アトラクタフィールド』ですね。
パラレルワールド的な無限の世界線を自分は頭に描いていたから、なかなかその理論が頭に入らなくて困った…
アトラクタフィールドを簡単に言えば、
- 小さな世界線変動では、チェックポイントのような避けることが不可能な事象がある。世界の収束(例:αでのまゆりの死)
- どの事象が不可避かは、岡田の能力「リーディングシュタイナー」から何とか察することが出来る。
この理論はリアルにはありません。
ゲーム内だけです。
制作者も無限パラレルワールド的世界観を持っているだろうけど、アトラクタフィールド理論としたのはシナリオの進行のため、でしょうね。
例えば世界線が無限だったら、タイムリープとDメールを繰り返していたら「SERNが偶然爆発してα世界線で平和が訪れた」なんてこともあり得ますしねw
「俺は何回繰り返しても、お前を救うんだ!」
という王道の熱い展開に持っていくには、不可避の事象を生み出すためにアトラクタフィールド理論が必要だったのでしょう。
ただ、素粒子物理や相対性理論では、どうしても宇宙全体を考えることになります。
人間如きの事象が不可避の事象となるのかが少し疑問。
個人が観測出来る世界線内での、理論ってことかな?
複雑な設定だが、考察し尽くしたいとは思えない
世界線を大きく変動させると歴史も再構築されます。
だから、年表は非常に複雑となります。
伏線も多く張っていて、全てを理解することが出来ません。
そういう複雑なシナリオでは考察のし甲斐がある!
…なのですが、申し訳ないけど個人的にこのゲームは考察し尽くしたいとは思えない。
何故かっていうと、ゲーム内で書かれてないことは「バタフライエフェクト」とか「世界線変動後の、その時間前に起こった出来事」とかで説明できてしまうから。
ゲーム内で明記されてない伏線については『シュタインズ・ゲートwiki』の考察で色々議論されてます。
その中を見ると、明らかな伏線なのにちゃんと回収してないものも多い。
例えば、未来ガジェットからSERNへの回線が直通になっていたこととか。
エシュロン内のメールを削除しただけで世界線が大きく変わったこと、ラボ襲撃はメールを見てやってきたのではなく、事象は独立していたのか?とか。
Dメールを使わなければ、お膳立てされてたの如くIBN5100を手に入れてメールを削除出来たこととか。
世界線の変動の前例が、岡田の生まれた年、発熱した年でもあることとか。
世界線変動による若干の齟齬とかでシナリオに問題が出るなら良いけど、明らかな伏線なのに回収してないのは、シナリオライターの実力を疑ってしまう…
伏線回収していくというよりは、それっぽくしたいだけだった、ように思えてしまうんだ!
このシュタインズ・ゲートは、世界線次第でいくらでもシナリオは描けます。
だからかスピンオフはかなり多い。
それら全てを見ていけば自分の疑問も解決されていくだろうが、後付けっぽくて、ねえ…
ストーリーとキャラについて
前半は理論のこととかが多く、そこらへんは面白かったですね。
ただ、キャラの兼ね合いは同じようなものが多くてちょっとうんざり。
ただの天丼ではなく、少しずつ変えてくれ!
「本筋はよ!」と思ってしまった。
あと、ギャルゲ的にはオーソドックスなキャラクターが多く、実はそこまで個性とかを感じなかったり。
まあこれはこのゲームが2009年に発売されたこと、プレイヤーたる自分が染まりきってしまっていることが原因でもあるが…
中盤の6章くらいからは物語が大きく動き始めてワクワクしてきました。
不謹慎なのは分かってる!
でも、進行するにつれて当初はうざかった岡部の中二病が収まって、普通の主人公的性格になっていくのが少し寂しい。
どんなヤバい時でも中二病描写はいくらか出してほしいし、その表現も色々変えてほしかったな。
初めてのエンディングは、まゆりエンド。
「攻略サイトは見るな!」という前評判だったので、大人しくやりました。
その後別のエンディングを回収し、攻略サイトを見てクリスエンドへ。
クリスエンドはケータイの選択肢で行き着くことは出来るけど、それがノーヒントなのはちょっと不親切か?
「何度も挑戦して、針の穴に糸を通すかのごとく境界面へたどり着く!」
「何度も挑戦して、針の穴に糸を通すかのごとく境界面へたどり着く!」
という試行錯誤を表しているかもだけど、ちょっとはゲーム内でヒントくれ!
シュタインズ・ゲートに辿り着いても、やっぱりSERNはタイムトラベルの研究をしているし、ラウンダーも存在するでしょう。
クリスが手伝わなければ、少なくとも岡部が生きている間にはタイムマシンは完成しないんだろうか?
α世界線もβ世界線も、クリス次第で将来の悲劇が起こるのか?
もしかしたら一番安全な世界は、クリス死亡かつ論文消去かもしれない…
前評判では「ラストの収束が凄い」だったのですが、個人的には申し訳ないけど、そこまで…と思った。
もっと「今までの全てがこのためにあったんだ!」「全ての伏線を回収しきった!」というカタルシスが得られるかと思ったけど、意外に得られなかったのが正直なところ。
異論は認める。