EDEN 総括

雑記
 やばいやばい。麻雀に興味出てきてしまった。
 アニメに影響されてやるのはにわかっぽいけど、出来ないよりは出来るほうがいいよなあ。


EDEN総括
 「EDEN」とは誰もが知っているように、旧約聖書の創世記に出てくる楽園です。そこにいたアダムとイヴは知恵の実を食べてしまうことにより、楽園から追放されました。
 この漫画のタイトルはEDENです。ではこの漫画の中にはEDENが出てきたのでしょうか?
 1話ではエンノイアが、自分の住んでいる場所をエデンと言っていました。しかし彼は創世記のEDENのように誰かに追放されるということはなく、自分から楽園を出て行きました。
 そしてそれから、物語が始まってからはエデンと言えるような場所や状況は一切出てきません。多くの人が物語に登場し、死んでゆく。いつでもどこでも理不尽で残酷な現実が描かれています。同情も出来ないような人間が死んでいくのもあれば、必死に人を助けようとして結局は両方とも死んでいった人たちもいます。愛を持ち、聖人君子のような人も神に助けられることもなくあっけなく死んでいきます。
 思えばこの漫画の進行はその繰り返しだったように思えます。世界中にある民族問題や宗教問題を取り上げながら、それによって不幸になる罪も無い人々が呆れるほど多いことが描かれています。じゃあ私たちは「そういった問題は頑張ってなくしましょう。いつかは無くなるはずです。」と信じて問題解決に向けて何かをすればいいのでしょうか?
 この漫画を読んでいると、そんなことは出来ない、人間同士のいざこざは決して無くならない、そう思えてきます。どんな善人でも絶対に救われるということはない、そういった諦めのような感情がこみ上げてきます。
 だからこそ生まれたのがコロイドなのでしょう。コロイドは人間を取り込んで情報のみにしてしまう。そしてその情報で新たな宇宙を創り、今の人間の進化を見限って次の段階へと移ろうとする。しかしラストシーンではエンノイアがコロイドの計画について異議を唱えています。それは人間代表として言ったのか、それともエンノイア個人としての考えを言ったのか。
 エンノイアはエデンで生まれ、出て行き、何十年か後に戻ってきてそこで死にました。彼は外の世界で麻薬の販売を行うことにより、世界の汚さ、現実の非情さを人一倍理解しているでしょう。それでもなお、彼は人間の可能性を見限ろうとはしませんでした。
 物語の最初から最後まで、エデンは見つけることは出来ませんでした。もしかしたら「EDEN」というタイトルは楽園なんて存在しない現実への皮肉なのでしょうか。所詮エデンなんて旧約聖書に出てくるだけだったのか。人間はエデンから追い出された生物だから、人間社会がエデンを創ることなんて決して出来ないのか。
 EDENのサブタイトルは「It’s an Endless World!」。直訳すると「それは終わり無き世界だ。」It’sは「それ」と略さなければ「終わり無き世界がある」などのように存在を表すこともできます。ここでの終わり無き世界とはどういう意味でしょうか。
 私個人の解釈では、「世界は永遠に変ることが無い」。つまり人間や他の動物は食われ食うの関係で争いがなくなることは無い、そして人間社会からも決して争いがなくなることは無い、ということは指しているのだと私は思います。
 作者の伝えたかったことは何だったのでしょうか。人間の不幸は決して無くならない?もしくは、そんな人間達でもいつかきっと問題は無くなるということ?
 どのように解釈するのも個人の自由です。この世界の本質を描いて、「さあ君ならどうするか」と作者から問題提起されていると思ってもいいでしょう。
 一体あなたは何を信じて行動するか。この世界がもう少し良くなるように、私達は希望を失わずに生きていけるのか。エデンを追い出された私達は、エデンに還ることが出来るのか。案外、それは世界が決めるのではなく、人間が決めることが出来るのかもしれません。
1~3巻 感想
4~6巻 感想
7~9巻 感想
10~12巻 感想
13~15巻 感想
16~18巻 感想

漫画

Posted by YU