東のエデン劇場版Ⅱ Paradise Lost 感想

雑記
 気が抜けてきた…

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(2010/08/04)
木村良平、早見沙織 他

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劇場版Ⅱ Paradise Lost
 アニメ「東のエデン」の最終章である、Paradise Lostの感想を書いていきますよ。
 まず、やっぱりオープニングすごいわと思いましたよ。特にイントロから「東のエデン」というタイトルが出るまでなんて、最初からクライマックスですよ。音楽のテンポと映像が見事にマッチしてかなり臨場感とか一体感とか、そういうようなきらびやかな迫力がありましたよ。もうね、このオープニングは数回繰り返して視聴したほど、気に入りましたよ。
 
 さて、ストーリーですが、以前はちゃんとセレソンゲームをしていましたが、今回はこのゲームの目的である、「この国の救い方」を中心に進行しているようでした。まあ、これが最終章なのですからその根本的目的が重視されるのは当然なのですがね。
 特に、この国の問題に、「金」を大きく関与させているのは、なかなか現実的な感じを受けました。物部が通した法律の「相続税100%」とか、幼き頃の滝沢のエピソードとか。前者は上がりを決め込んだおっさんたちによる若者たちからの金の搾取などを抑えるみたいなことを意味し、後者は金の前ではみんな平等だということを意味しているようですがね。まあでも、「金」というのはこの国の「空気」全体に関わる大きなものであるということは、確かなのかもしれません。
 
 世代間闘争というものもこのアニメでは大きなテーマとなっており、所謂「若者」と「おっさん」が対立しています。若者はおっさんたちを軽蔑し、おっさんたちも若者を軽蔑しているような雰囲気がありますが、そんな空気の中で板津が放った言葉はなかなか考えさせられます。

「こういったもの(≒馬鹿みたいな闘争)も積極的に受け継いでいったほうがよかったのかもしれん」

 これは団塊世代が大学などにこもって警察相手に戦った全共闘のことを言っていますが、大抵の今の若者は「あの全共闘は反抗したいだけのガキが起こしたクソくだらない迷惑行為」のように思っており、そんなことにはまっていた団塊世代を唾棄しています。
 しかし、そんな良くも悪くもエネルギッシュだったあの世代のようなエネルギーを、今の若者は持ち合わせていません。だからこそ大きな迷惑行為も起こしてはいないのですが、逆に大きな革命なんかも起こしていないし起こそうともしていません。この無気力的な空気が良いのか悪いのかはもちろんくっきり判別することは出来ないのですが、「戦いは悪」だということに凝り固まれば失うものもいっぱいあるのでしょうね。
 ヒロインである森美咲は最後まで普通(=俗人、凡庸)の人間の代表のようでして、自分の感情で滝沢を引きとめたいと思いを持っていたようですね。うーん、女性ならやはり公憤よりも私憤のような感情の方が大きいんですかね。自分としては、崇高な目的へ真っ直ぐに突き進んでいく人間に対しては、全力でサポートすることに尽くすほうが正しいと思うんですがね。そういう理屈と自分の感情で揺れ動くのは、まあわかるけどさ、でもそんなのは深呼吸一回して冷静になれば、この社会のためとなる行動を取ろうとするものだと私個人としてはそう考えます。
 咲は最終的に滝沢にキスをしますが、滝沢は咲に対してどのような思いを持っていたのでしょうか?可哀想な若者?女性?ただ一人の親愛なる人?滝沢は咲に対して好意を持っているようですが、その好意とはどんなものなのでしょうかね。咲の滝沢への好意は、わかりやすいのですが。 咲への好意よりも、この国のためにやるべきことをやりたい?もしそうなら、とんだすれ違いになるかも。滝沢のやりたいことややるべきことは、まだまだ尽きなさそうですし。
 ラストシーンで物部と滝沢が論戦のようなことを行いますが、その内容に関しては次の記事の「総括」で…。
 ひとまず物語としては、セレソンゲームの決着らしくない決着でしたね。コンシェルジュの使い方によって相手を打ち倒すというような、半ば物理的に決着が着くかと思ったら、論戦のようなもので終わりましたね。まあしかし、このゲームの根本的な目的は、100億円で勝者になるというのではなくて、100億円でこの国を救うということですから、これが正しいようです。 
 じゃあ結局、セレソンゲームはゲームでなくても良かったという結論に至ります。しかしあえてゲームにしたのはなぜでしょう?100億円を与えれば、全ての人間が望むように動くとは思っていなかったから?サポーターという脅威をちらつかせることによって、駄馬に鞭を与えるようにしたということか?何にしろ、亜東才蔵は劇中でも言われていたように、「人の人生を何だと思っているんだ」と言いたくなる男です。
 ただ、亜東才蔵が行ったセレソンゲームも、どうすれば絶対的にこの国が救われるかということがわからない中での、苦肉の策でもあったかもしれません。彼も昔は若者で、この国をより良くしようと必死に頑張ってきた人間の一人なのです。しかし今、問題はまだまだあり、自分のやってきたことは正しかったのかという疑問も持っています。 何をするべきかがわからない、だからこそ亜東自身も、全てを打破してくれる救世主が現れるという希望を持って、セレソンゲームを始めたのではないでしょうか。
 なんだかんだで結局、滝沢が全国民にメッセージを伝えても、全ての問題が解決されたわけではありません。問題はまだまだ山積みですし、終わりなんて全く見えません。しかし、それでいいのでしょう。大事なのは、一人一人が問題を解決していこうと頑張ることそのものなのですから。そしてその空気を作って、希望の化身となったのが、滝沢朗なのでしょうね。

 ノブレスオブリージュ、一人一人がこの国の潜在的な救世主であらんことを。

1~4話
5~8話
9~11話
劇場版Ⅰ Tha King of Eden
総括

アニメ

Posted by YU