『おへんろ。~八十八歩き~』四国民だからこそ楽しく見れる旅アニメ
2014年に初めて放映された、アニメと実写を融合させた旅番組「おへんろ。~八十八歩き~」を視聴しました。
原作・企画は、創業者が徳島県出身のufotable。
徳島新聞紙上で連載があったり、徳島県内で複数のイベントとのタイアップがあったりと、非常に地元密着なコンテンツです。
色々とある「女子高生×おじさん趣味アニメ」の一つかと思いきや、一味違う地元密着型旅番組なのだ。
視聴のきっかけ
いつも利用している配信サイト、dアニメストアで見つけたから。
このブログのカテゴリの一つにもしていますが、自分は2012年に歩き遍路(野宿・通し打ち)をしました。
今でも思い出に残っていて、たまにあの時書いた記事を読み返したり、他人の記録を読んだりしています。
そんなわけで、とりあえず視ることにしました。
なお、30分枠の全44話、1話平均2寺紹介。
結構長いので、まったりと時間のある時に視聴していくのがおススメ。
寄り道ばかりのゆるゆるお遍路
登場人物は、
- 観光名所に寄りたがる歴女の「まお」
- グルメに目がなく、体力と好奇心旺盛で、意外にも俳句が得意な「ちわ」
- 父の影響でお遍路を初め、寺社への知識と興味のある「めぐみ」
- 解説役でツッコミ役で、車と列車と酒に合う料理が好きそうな「先達さん」
の4名。
この4名で1番札所霊山寺から88番札所の大窪寺まで、(主に)歩き遍路していきます。
現実の通し打ち歩き遍路は、体力や路上の生活に慣れていないとかなりストイックな旅になりがちです。
確かにこの番組でも遍路ころがしなどの難所で辛い思いはしますが、基本はゆるゆるです。
軽いツッコミやいじりがありつつも、4人がケンカしてギスギスしたりトラブルが起こったりは無いので深いドラマは無いですが、だからこそ安心して見れます。
一応萌えキャラ的な3人ですが別に煽情的なシーンも媚びたシーンも無く、家族一同でも見れる番組でしょう。(まおの生足とめぐみのπスラは除く)
各お寺や霊場の紹介もあるのですが、「せっかく四国に来たんだから」ということで、観光名所などの寄り道ばかりしています。
序盤は流石に「お遍路番組」ということで「ついでに寄り道もする」というスタンスでしたが、いつしか「お寺の紹介もしますよ~」になっていく…w
そうそう、個人的にOP曲のイントロから歌い出しまでのアバン、今回の紹介の部分が好きです。
テンポが良いしいい具合にツッコミどころのあること言ってくれるし。
しかし寄り道ばかりと言っても、先先と行ってしまう普通のお遍路よりも余裕があって、各お寺の縁起なんかも丁寧に解説してくれます。
自分は出来るだけ札所の由来を書いた看板などを読んでましたが、それでもこの番組で初めて知ったことは多いです。
天井画のような、言われなければ気づかないものも多いですからね。
そしてまた、寄り道のレベルもなかなか高く、地元民の自分なのに知らない場所が多くてびっくり。
四国で放映された番組だからこそ、既に知られている超定番の観光スポットはそこそこに、穴場のスポットを映そうとしたのだろうか。
地元民にとっては「うっわー、すげー地元」と思ったり、「えっ、こんなところ知らなかった!」と思ったりもあって、意外に楽しかったのです。
知っていることばかり映されると思っていたら!
もし四国のどこか、札所近くに観光に行くのなら、お遍路目的でなくてもこの番組で当該地域の話を見ておいた方がより楽しめます。
特にグルメはマイナーな店も多く、ネットですらほとんど紹介されないものもあるので一見の価値ありですマジで。
お遍路を通じて四国を楽しもう
この番組のOP曲、「千と二百の物語」には以下の歌詞があります。
さあ何か始めよう、踏み出す一歩に理由はいらない
お遍路はお大師様ゆかりの場所を巡る宗教的な巡礼ですが、同時に非常に優れたスタンプラリーでもあります。
近代の四国遍路は宗教心で始めるだけでなく、趣味や自分探し、紀行などという浅はかな理由で始めても全く問題ありません。
バスツアーでも自家用車でも、バイクでも自転車でも歩きでも何を使っても良し。
区切り打ちでも逆打ちでも良いし、キリスト教徒でもイスラム教徒でも良し。
どのような人がやっても構いません。
厳しい旅がしたいならそうすればいい。楽な旅がしたいならそうすればいい。
全てあなた次第。
近代のお遍路には他の寺の修行とは違って、「緩さ」に特徴があります。
その緩さを、キャラの掛け合いや寄り道を通して表現出来たのが、この「おへんろ。~八十八歩き~」かもしれません。
もしこの番組で四国やお遍路に興味が出て、時間があるなら、行ってみてはどうでしょうか。
画面を通して見る絶景や厳かな寺社も、実際に行って肌で感じるのとでは違います。
我々四国民は、様々な人を迎え入れます。