四国遍路 23日目宿毛~40番札所
23日目
昨晩が快晴だったので、放射冷却でかなり早朝は冷えました。日の出が待ち遠しいけど周りが山に囲まれているから、なかなかやってこない…。ていうか歩いているとき息白かったがな。もう秋か…。歩き旅をしていると季節の巡りを肌で感じられます。
宿毛の町っぷりにちょっと感動(ひさしぶりだから)して、伊予の国へ目指して気合を入れる。さらば修行の道場、土佐…。
国境の松尾峠までの道に、これまでずっと不思議に思っていた農作物で、最もでかいものを見つけました。かなり多くの畑でこの茎と葉しか見えない植物を見ましたが、帰って調べてみると、名前はリュウキュウ別名ハスイモと言うそうな。高知県の伝統野菜らしく、芋の部分でなく茎の部分を食べるそうな。う~ん、変な物好きとしては食ってみたい…。
山を登り、松尾峠到着!遂に修行は終わり!これからは菩提!何かがわかりだす道場に入りましたよ!
地形とか設備とかは大して変わっていないはずなのに、何だかものすごく新鮮な気分です。下りの道はかなり歩きやすく、天気も良いので気分は最高です。
峠近くのベンチに子猫がいました。歩いていると足元に擦り寄ってきて、私が歩くと付いて来ます。「食べ物が欲しいのか?」と思ってお菓子をあげても無視。よくよく観察すると目やにがいっぱいついているし、毛並みもボサボサです。おそらく母猫がいないんだろう、と判断しました。
こういうとき、どうやってやれば一番良いんだろう。このままだと餓死したりカラスに襲われたりしそうで心配になったので、少し悩んで、下界にもっていくことにしました。ビニール袋に入れて「みーみー」鳴く子猫と一緒に峠を下り、下界の民家にそっと置いてきました。
民家の人にとっては迷惑な行為だったでしょう。もしかしたら子猫がいた場所に親猫がいたかもしれません。民家の人が猫を追い出すかもしれません。私の行為は間違っていたかもしれません。私がそうしたかったからそうしたのです。ただの自己中ですね。でもどうせなら、あの子猫が無事であって欲しい…
雲ひとつ無い快晴の空の下歩いて歩いて歩き続け、40番札所観自在寺に到着。なかなか綺麗な寺です。
久しぶりに大型スーパーで買い物。おやつ、ジュース、米、豆腐などを買いまくって結果、かなり荷物が重くなりました。ウエストベルトきつく締めてもゆるんでくる…。こりゃ対策が必要だ。
この日、人生で初めて野宿地を追い出されるという経験をいたしました。17時過ぎたくらいに、道沿いに岩とかブロックとかが少しあるけど雑草が自分の太ももくらいまで育っている平坦な場所を見つけました。私は「ここは昔使われていた資材置き場とかかな、まあ今は誰も使ってないだろ」と考えてテントを張りました。
すると隣の家からじいさんが出てきてエンジン草刈機で草を刈り始め、「ここはキャンプ場じゃないぞ!」と私に出て行くよう通告しました。私は「申し訳ありませんが一晩だけここを使わせてもらえませんか?」と言いましたが、聞く耳持たず。お願いしても無駄だと思って出て行くことに決定。しかし、ザックに全ての荷物を積んだときには辺りは薄暗く、じいさんも草刈りを止めていました。「ご迷惑おかけしました!」と言うと、「どもども」と意味わからん返事。この返事でものすごくイライラした!その後薄暗い中、道を進んで交通量の多い寝苦しい場所でテント張って就寝。
今思うと民家に近い空き地を野宿地に選んだのは迂闊だったと思いますが、当時は「じじいはクソだ!」とか「四国で最悪なのは愛媛県民じゃね?」とかそういう低劣なことを思いまくりましたね。こういうのも、自分の本質なんだろうかね?(でも老若男女の中ではじいさんが一番嫌なやつの割合多いという考えは、今でも変わってない)
色々あったけど、晩飯は豆腐・油揚げ・チンゲンサイの味噌煮込みなんていう豪勢なものだったから、食後はかなり満足状態。
歩行距離:約32km
えひめ愛南お魚図鑑 -Fishes of Ainan Ehime- (2010/03/06) 高木 基裕 |