四国遍路 38日目86番~88番~白鳥

38日目
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 遂に巡拝が終わる日です。朝食のおかずは油揚げとクイン茸の味噌炒め。天気はあいにくの曇り。まあ、こういう日もあるのです。晴れの日が最も良いという固定観念も、そろそろ捨て去ってもいいかもしれません。
 静かな旧街道を歩き、平賀源内ゆかりのものなどを傍目に見ながら進むと、86番札所志度寺到着。工事中なので雑多ですが、境内は広く、納経所も綺麗でした。思い返せば、寺にも色々個性がありましたな…。
 最後の寺に近づいているということをひしひしと実感しながら、今までの旅を思い返しながら、淡々と歩いていきました。87番への道は基本的に平野を歩くので、広々としています。88番のある山々もこの辺りから見えてきます。雨、やっぱり降らないほうがいいなあ…。
 87番札所長尾寺は、88箇所の寺らしい寺。特徴はあまりありませんが、綺麗に整備された場所だと思います。
 参拝後にこの旅の最後の買い物をスーパーで済ませました。ジュースやお菓子やおかずやらを買い込んだので重量は増えましたが、もう重さに慣れているので全く苦になりませんでした。
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 88番への歩行開始!これが最後だ!
 道は平野から段々と山間の道へと変わっていきます。歩いていくと道の駅ながおに到着。ここはお遍路の資料館とか交流館などがあり、お遍路さんたちの最後の大休憩の場所となっているようです。ここで昼食を購入すると、お接待でゆで卵サービスしてくれました。ありがとう!最後の道頑張るよ!
 88番への道は二つあり、緩やかだけど距離が長い額峠コースと、急だけど距離が短い女体山コースがあります。私は女体山コースを使用しました。
 女体山コースは3分の2ほど林道ですが、集落がほとんど無いので人通りなどはほぼ皆無。かなり寂しい道です。
 沢沿いの林道を通ることがあるのですが、その林道の脇にスズメバチの巣が落ちていて、あやうく刺されそうでした!いやはや、あれは本当にびびりましたよ。歩いていて、「むっ?蜂がいる?」と思った矢先に「ブンブンブン!」と大量の蜂が襲い掛かってきましたからね。即行で引き返しましたよ!しかも相当の距離を取らないと斥候の警戒が解けず、1匹ほどはずっとついてきますからね。はあ…びびった。
 蜂の巣を迂回しようと思っても他の道は無し。というわけで、沢を渡って林道の逆岸から蜂の巣を迂回しました。ほぼ沢歩きみたいなものだったので靴はずぶ濡れ。さらに、林道に復活するときには自分の肩くらいの高さの段差+草ぼうぼうの段差を越えなければならず、ザックの重さと大きさによってかなりてこずりました。
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 蜂の巣を何とかクリアしても、困難は続く…。林道+登山道歩きは案外長く、「もうすぐ最後!もうすぐ最後!」と思いながら歩いていたので、精神的にも疲れました。「えっ、まだなの?」と思うときが何度あったことか?
 女体山への最後の登りはかなり急で、ここだけはまさに正真正銘の登山。今までの遍路旅の中で最も「登山」を感じましたよ。女体山山頂はガスっていたので展望は無し。晴れていたらかなり良さそうです。
 急傾斜の道を登ってきたら、次は急傾斜の下り道!下り道は階段が多く、ゆっくりと歩くことが出来ません。足裏も痛くなってきて、体力も消耗してきました。予想ではもっとスマートにかつ感傷的に88番に到着するつもりだったのに…。
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 ぜーはーぜーはー言いながら、雰囲気的に泥臭いものを漂わせながら、88箇所最後の霊場、88番札所大窪寺到着!
 女体山コースでは本堂横から出てくるので、山門を通らず境内に入ってしまいます。最後くらいはちゃんと山門くぐって鐘も突こうと思っていたのですがね…。まあいいか!
 本堂、大師堂に行き、通常通りのお参り。これで88×2=176回目の参拝だ…。最後なので全ての動作を丁寧に一つずつ行い、読経も一文字一文字の意味を感じながらやりました。そして納経所へ行き、最後の納経。これで、終わった…。
 案外、涙を流して感動する、ということはありませんでした。まあ自分がそういう人間だということはわかっていましたが。でも、何だか、何かが、今までと違うような…。
 山門で深く礼をして、大窪寺を出ました。門前街はお土産屋や食堂、旅館などがあります。とりあえずストラップを買いました。
 そして、実家に歩いて帰るべく、歩行を再開しました。遍路が終わっても、私の旅はあともう少しだけあるのです。
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 88番を過ぎても、遍路道を示す道しるべはまだ続いています。おそらく1番へと続いているのでしょう。「88番に到着したら、ハイ、終わり!」というわけではないのです。
 車通りがめったにない、国道をたった一人で歩いていきます。格好はまだ遍路です。菅笠と白衣を装着して、金剛杖を突きながら、さらに歩いていきました。もちろん他の歩き遍路は皆無。
 地図を見ながら、たまに道しるべに逆らって、自分が決めた道を歩いていきます。今までずっと遍路道の道しるべに従うだけでしたが、自分でルートを決めていくとなると、少し新鮮です。もともと旅なんて、自分一人でルートを決めていくものかもしれませんがね。
 野宿地は白鳥温泉手前の峠にある休憩所。周囲に人気なんて全く無い中での野宿。そうだ、これが最後の宿泊なんだ…。
 晩御飯では米を全部使い切りました。よって、晩御飯のメニューは、米1.8合とおかずは米茄子と焼き豆腐の田楽となりました。流石に1.8合を食べきるのには苦労しました。
 明日が旅の最終日です。日常へと、還る日。
 
歩行距離:約31km

カラー版 四国八十八カ所―わたしの遍路旅 (岩波新書) カラー版 四国八十八カ所―わたしの遍路旅 (岩波新書)
(2008/09/19)
石川 文洋

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四国遍路

Posted by YU