青春デンデケデケデケ 感想

2020年5月14日

雑記
 パソコンでテレビ見ようかなと思って、コンバータっちゅうものを買ったわけですが・・・
 画質悪っ!!画面がビリビリなってんよ!!
 所詮こんなもんか~?


 このblog始まって以来、初めて小説の感想を書くことに至りました。
 本当はこのblogは自分の読書記録として始めたかったのですが・・・blogの更新頻度を考えると、小説より漫画とかの方がパッと読めるから、小説は更新をよくできるようになってからしようかしらん、と考えてしまったわけです。でもこれからはちょくちょくあるかもです。
 
 初めて聞いた方には奇妙に聞こえる「青春デンデケデケデケ」。一体この「デンデケデケデケ」とは何を指しているのかというと、洋楽の「パイプライン」という曲の出だしに聞こえるエレキギター音らしいです。まず最初に「デンッ!」とやってから「デケデケデケ」とつなげるそうです。
 ではなぜパイプラインの出だしがタイトルに入ってるかというと、その曲の「デンデケデケデケ」でこの小説の主人公、藤原竹良がロックに目覚めたきっかけだからです。まあ由来を知ってしまえばこのへんてこなタイトルも自然に思えてくるから不思議です。
 とりあえずあらすじはどんなかというと、ロックに目覚めた主人公が仲間を集めてバンドを組もうとし、みんなでバイトをして金をためてギターを買ったりする。その後はロックの練習や青春にある出来事を体験したりする。たくさん練習してついに文化祭で演奏をして大成功!主人公は東京の大学へ行く・・・
 まあこんな感じですが、この説明じゃ面白さが1ppも伝わってません!!ですよね?
 上記のあらすじでは、こんなのよくある青春小説じゃんなんて言われそうですが、どう考えてもこの小説のジャンルは青春小説です。まあつまりですね、この小説は青春の中の青春の中の青春の中の青春って感じです。読んでいると、これでもか!!ってほど青春です。他の青春小説も青春なんですが、この本以上に青春っぷりを発揮している小説は読んだことがありません。
 一体なぜこれほどまで青春なのか?ということを自分なりに考察してみると、まずこの本の舞台は讃岐の観音寺(作者の生まれ故郷)であり登場人物が讃岐弁を喋りまくっています。これにより本物の人間らしさが出てくるでしょう。
 その次は、作者が登場人物の将来を書いているところでしょう。例えば、この小説にある女の子が出てきます。読んでいくと、「ちなみに今、この女の子は2児の母となって幸せに暮らしている」などのような説明が出てきます。これにより、この物語は過去のものであるということを読者に認識させ、この小説を読むときは過去を振り返るというような気持ちで読むことができるでしょう。実際、私たちが青春だなあ~と感じるのは、青春時代の私たちではなく年を取ってから、または小説を読むなどして客観的に見るときでしょう。その二つを二重にして読者に与えているのですから、私たちが青春だと感じるのは当然でしょう。
 そして最後は、登場人物の言動、心情などがリアルだからです。まあもちろん小説を書くには人間のリアルな感情を書き表さなければならないと思います。しかしこの物語はファンタジーではなく、またドラマとは若干違う、リアルで普通に出てきそうな物語です。一生懸命にバイトしたり練習したり、恋に悩んだりやる気が出なかったり、自分にとっては忘れられないのにどうしてみんなは次の一歩を踏み出しているんだ?などなど。誰もが一回は思ったことがあること(というか常に思っている?)を、高校生のよくある日常の中で表現しています。
 これぐらいで感想を終えてもいいのですが、まだ終われません。
 この本の最終章直前までは、主人公たちが一生懸命にロックの練習をします。しかし、最終章ではもう練習をしません。別に最終章は後日談ではありません。ではなぜ練習をやめたのか?というと、その時彼らはもう高校三年生であり、それぞれの進路に向けて必死に努力をしているからです。
 ・・・寂しいとは思いませんか?これまではあんなにも練習で必死だったのに、高校三年生の終わりが近づいただけで、これまでが無かったように、ロック以外のことに熱中しています。お前らの以前の感情はどこに行っちまったんだ!!と少し言いたくなります。
 これと同じように、主人公も考えてしまいます。彼はロックが好きだったけれども、それ以上に彼らが作ったバンド、ロッキングホースメンを好きになっていたのではないでしょうか。ですから彼はそのバンドを忘れられず、こう考えてしまいます。

 できることなら永遠に高校生をやって、ロッキングホースメンのメンバーとして活動し続けていきたかった。

 しかし他のメンバーは彼とは違い、それぞれの道を歩み始めます。そこで彼が思ったことは、

 どうしてみんな、こんなにあっさりとバンドを捨てられるのだろうと、ぼくは恨めしく思った。

 彼はもうどうしようもなく、ロッキングホースメンゆかりの地を周ります。メンバーに誘った場所、3年間練習してきた部室、あほみたいなことをして楽しかった合宿の地。どの場所にも彼の愛するロッキングホースメンの思い出があります。そして、どの思い出も楽しく、笑えて、幸せなものだったのでしょう。しかし、その思い出は今の彼を切なくさせるだけに過ぎません。何をやっても楽しかったあの日々は、もう、戻ってこないのか・・・
 しかし、しかし!彼が合宿の地から故郷へ帰ってきたとき!ロッキングホースメンのメンバーが駅で待っていたのです!!
 そして彼らは主人公に終身バンドリーダーとして認定したのです。
 もうこのシーンは涙が出ました・・・。・゚・(ノД`)・゚・。
 裏切ったとか、呆れたとか思っていたのに、結局彼らはバンドを忘れてなんかいなく、主人公に対し深い尊敬の念を持っていたのです。
 そう!そうなんです!この深い絆で結ばれたこのメンバーたちにとっては、ロッキングホースメンは彼らが存在する限り不滅なのです!彼らはもうただの友情なんて言葉では表せないほどの絆でつながっているのでしょう。
 そのあと、主人公は悔いがなくなったのか、晴れ晴れとした気持ちで東京へ行くことができました。もちろん彼が東京でするのは音楽。
 ここまで彼が楽しく充実できたのはロックのおかげ。「デンデケデケデケ」の出会いが無ければ彼はこれほどまで充実した青春をすごさなったのかもしれません。
 これで青春はひとまず終わり。しかし、これからも青春を続けるのは本人の希望しだい。あのときの気持ちを忘れなければ、何歳になっても青春を味わうことができます。作者のようにね

私家版 青春デンデケデケデケ (角川文庫) 私家版 青春デンデケデケデケ (角川文庫)
(1998/07)
芦原 すなお

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小説

Posted by YU