マヨヒガ 感想
マヨヒガ
フリーゲームの「マヨヒガ」の感想です。作者は創作同人サークル、小麦畑さんだそうです。
RPGツクール2000作品、プレイ時間は約1時間ほど、エンディングは5種類ある、脱出ゲームです。
まずはゲーム性からですが、このゲームには戦闘などはなく、いろんな道具を発見したり装備したりしてある館から脱出するゲームです。プレイ時間は約1時間であるように短編ゲームなのですが、ちゃんと作りこまれていて無駄のないものとなっています。
行動範囲は狭く、すぐに館の端から端まで歩くことが出来るのですが、その分各マップひとつひとつに無駄が無く、最も難しいエンディングに達するには各マップに何があるのかあったのかを把握する必要があります。初めてプレイしたときは、「行き詰っても全部の部屋を回れば大丈夫だろう」と思って気楽にやっていたのですが、これが案外難しい。「こうすればよかったのか!」と思うこともしばしばでした。
エンディングは、短いゲームですが5種類もあり、条件分岐もこまごましたものなので、ノーヒントで全てを見ることはちょっと難しい。でも、それぞれのエンディングはやはり見るべきですよ。どうしてこんな結末になってしまうのか、何が必要なのか、何が大事なものなのかを知ることが出来ると思います。
このゲームの元ネタは日本民族学、つまり日本神話や遠野物語のような民話の要素が多く散らばっています。それらのことを題材にしたかったがためにこのゲームを作ったように私には思えます。
例えば、異世界のものを食べるとその世界の住人になって帰れなくなること、名前の重要性、イザナギの伝説などが登場します。ちなみにこれらの元ネタは作者サイトのマヨヒガのページで、ゲーム中に出てくるある言葉を入力すると見られるページで解説されています。この元ネタページは、かなり見る価値あると私は思います。
ただ単に元ネタを羅列するのではなく、ちゃんとゲーム中にも出てくるものなので頭に入りやすいし、説明文も簡潔ですからね。この方面に疎い自分にとっては、なかなか勉強になりました。
このゲームは簡潔ながらも、現実に存在する日本民族学的な要素が多く含まれ、ゲーム性も損なわれていない、バランスの良い作品だったと私は思いました。