D. -Dooms Day Door- 感想
D. -Dooms Day Door- 作 おさはる
2009年に公開された、RPGツクール2000製のフリーゲーム、「D. -Dooms Day Door-」の感想を書きます。タイトルは「D.」だけでいいかもしれませんが、一応副題も書いておきます。前作は同作者の「E.」です。プレイしておくとさらに世界観を理解できるかもしれません。
グロテスク・暴力表現ありのため、プレイは15歳以上推奨だそうです。
まず戦闘から。戦闘システムは前作「E.」と同じで、ツクール2000のデフォ戦闘です。主人公の解放コマンド以外の技はまあ普通。武器の系統は銃とかナイフとかがあり、やはり銃の種類は他のフリゲよりも多めでこだわっている感がありますね。最強はやはり全体2回攻撃の機関砲なのでしょうが、ボス戦とかを含めれば案外他の武器の方が良かったりします。ローゼンの防御技能は強すぎ!
難易度はちょうど良い~少し簡単くらいです。レベル上げなどは一切せずともラスボスまでたどり着けますが、ラスボス戦とかキリエ戦とかではちょっと苦労します。
敵のデザインは前作同様、気持ち悪いものが結構あります。しかし比較的ロボット系や人間系の敵が多く、グロよりもサイバーパンク系の雰囲気を感じられます。
システムとしては、聖血で色々な技能を覚えていけるのがなかなか特殊ですね。しかも使い切ると壊れるっていうのも。案外金が溜まりにくいゲームバランスですので、聖血を買うお金が不足して聖血を装備出来ないキャラが出来たり。周回プレイしたらそんな気苦労しなくても良いのですが。
ダッシュとかシンボルエンカウントも、ゲームのプレイを快適にしてくれるもので、良かったです。物を調べたときのギミックとかそこかしこに存在する即死トラップとか、ダンジョン探索をありきたりにしてくれないので面白かったです。全体的に、こういうゲームとしての快適性とかチマチマした良さの面で作者のレベルが上がっているような感じを強く受けましたよ。
硬派で陰鬱とした世界観ですが、仲間キャラは女性ばかりというハーレムなのは前作と大して変わらず。好感度を上げるイベントは多く、普通にやっていれば好感度10以上は簡単です(ニケ除く)。好感度調整には名も無き花とかゴキブリとかを使えば簡単です。ある程度好感度が高い状態でベッドを調べると…「別の穴があるだろーが!」とか。「お前ばっかりが何もかもを手に入れて!」と叫んでいるセス君の気持ちが身に沁みて分かります。
変な選択肢を選んだりすると、色々なパロディが見られます。そういうのを含めて、「E.」よりはまだポップな雰囲気になったのかな…としみじみと感じます。ちなみにパロディには攻殻機動隊とかAKIRAとかがありますし、もっと別のサイバーパンク系作品のものもあるかも。生命の樹はエヴァから?全自動資本主義はものすごい言葉だなと思っていましたが、ググってみるとこれも攻殻機動隊だったんですね。
前作からそうでしたが、このゲームでは多くの旧約・新約聖書ネタが登場します。キリストの復活とかもくしろくとか。でも前作よりも控えめになっているかもしれません。
前作では閉鎖されたエリアが舞台であるため、その舞台外には何か希望が存在すると考えられたかもしれません。しかし今作ではすでに人類が地上に出た後で、その世界の外に更なる世界が広がっているということはありません。それはつまり、何だか分からないけど希望がある状態、では無いということ。人類が今の状況を一つ一つどうにかしないとどうにもならない状態。
そんなわけだから、前作ではもっと物理的意味だった「扉を開く」は、今作では観念的な意味での「扉を開く」ということになったのではないでしょうか。選択と決断によって、自分を変えて世界を変える。
主人公をプレイヤーの分身ということにしたのも、感慨深いものがあります。マリアは主人公を「ドメインジャック」と称していましたが、これは乗っ取るという意味よりも、『観測者』という意味に近かったように思います。観測し、事象を固定し、視野を広げて世界を広げる。もしくは、各キャラクターの扉を開き、明日へと歩ませる、そういうこと?
副題となっている「Dooms Day Door」とはどういう意味だったのでしょうか。調べてみると『doomsday』とは『最後の審判日,世の終わり』という意味でした。ということは今作の副題は、『この世の終わりの扉』という意味だったのでしょうか?もしそうなら、ものすごく破滅的ですね。
しかしどのエンディングも破滅的ではなく、この世の終わりという感じはありませんでした。この世を終わらせようとしたのもセスくらいで、キリエはそこまで破滅思想ではなかったし。
というわけで副題の意味を再考察しますと、『doomsday』をそのまま一語とせずに、3単語として日本語で私なりに解釈しますと、『閉ざされた(Dooms)人生(Day)を開く扉(Door)』というような意味を持っていたのではないかと思います。これならラストの明日への扉という言葉にも合致しそうに思えますが、どうでしょう。
やりこみ記録★
・全アイテム入手
・全員全技能取得(セス含む)
・全ED閲覧
周回プレイが出来ますので、やりこむために神経質になる必要はありませんでした。
全アイテム入手では、全宝箱開封、店の商品を全部購入、ロボ系人間系ボス系モンスターからニケの『スリ』で盗みまくり、サラの刀を鍛え上げる、で全て入手出来ると思います。ニケのスリは1戦闘で1回使用すれば良いだけなので、アイテム収集は楽ですね。ラスダンの敵からは打撃系以外の最強武器を盗めるので盗んでおきましょう!サラの刀を全てのレベルで残しておくためには、最低5週しなければなりません…。
全技能取得では、まず全員が全ての聖血で技能を取得する必要があります。この内、キャラによって取得できない技能もあるので、聖血がぶっ壊れるのをその目印にしたほうがよいでしょう。セスだけ受難の聖血というものを装備できますが、レベル上がってもMP増加しないので、せっかく覚えても技を使用できなかったり…。ジャンクヤードでの休暇中にローゼン以外の4人の仲間と訓練できます。よって、全技取得には最低4週する必要があります。
EDは最も好感度の高いキャラのED×5+2週目以降のラスボス後の選択肢によるED1つで、計6つあります。キリエ戦前に好感度調整を行えば、各キャラEDは簡単に見られます。