ドキドキ文芸部!プラスの感想――皮肉とホラーだけじゃないよ

ドキドキ文芸部!(Doki Doki Literature Club!,DDLC)をクリアしたので感想を書きます。

このゲームは2017年に無料ゲームとして公開され、2021年に新要素が追加された「プラス」が有料ゲームとして発売されました。
自分がプレイしたのはプラス版。
既に高評価を受けていた今作ですから、せっかくなのでお金を払いたい、ということでプラス版を。

ジャンルは「美少女恋愛系ビジュアルノベル」、かと思いきや「メタフィクションサイコホラー」、かと思いきや真っ当に「ビジュアルノベル」でした。
アメリカ人が制作しましたが「Omori」等と同様、非常に日本のゲームから影響を受けているのでオタクならとっつきやすいはずです。

キャラやビジュアルについて

元気っ子なサヨリ、クールコミュ障系のユリ、ツンデレ少女のナツキ、学園のアイドルのモニカという、ギャルゲでは非常にありがちな性格とビジュアル
日本のギャルゲのお約束(やれやれ系主人公とか)も見受けられ、「作者はGeekだな、ふ~ん、やるじゃん😏」と思わせるほど!
男一人、その他美少女の部活、何も起きないはずがなく……というか現実では起こり得ねえよ!

1周目では誰でもあのENDにたどり着くのですが、幼なじみ属性と元気っ子属性に弱い自分としては、真っ先にサヨリを攻略しようとしてましたね!
そりゃお前、あんな可愛くて優しくて、しかも弱いところも見せてくれる美少女になびかない男がおるか!?おらぬ!
何の躊躇もなく「好きだ」と伝えましたし、ナツキかユリを選ぶときはサヨリを選びましたし。

本編では数枚CGがあり、枚数は多くはありません。
しかしその中で最も気に入ったのは、やっぱりサヨリの衣服を整えてやるシーンです。
うん、可愛い、そしてエロい
今までエロい目線で見てなかった幼なじみにふと感じるエロさ、あぁ……尊い

 

なぜ俺の青春は、何もなかったのだろう(鬱)

 

 

メタフィクションとホラーについて

この作品はゲームです。
そしてゲームであることを前提とした技巧を凝らした演出がこの作品にはあります。
つまり、メタフィクションであり、それを活かしてプレイヤーをギョッとさせるホラーでもあります。

この演出がかなり新鮮だったのか、アメリカではカルト的人気を誇り、様々なゲーム賞を受賞することになります。
Undertaleと言い、こういうの好きね、アメリカ人。

2周目の、日常の歯車が壊れながらも淡々(?)と進行してゆくストーリーには戦慄を覚えることでしょう。
1周目はサヨリが、2周目はユリが結末を迎えることになりますが、驚くしかない。
不自然だと覚えるほどで、むしろ「この後ろに何かがある」と感づくかもしれない。少なくとも自分はそう感じた。

 

そうして3周目、ゲームの中で唯一上位存在としての立ち位置を保つモニカが、プレイヤーに語りかける。

Just Monika(モニカだけ)

(と言っても、本編では舞台回しとしての役割だけで、攻略対象ヒロインとしての情が移ることがなかったので、あまりモニカに執着することが個人的にはなかった)

傲慢な神のようでもあるけど、哀れでもあるモニカ。
罪はないけど、この私が、先に残されているゲームファイルにたどり着くため、消すしかなかったのだ。

 

 

ちなみに、このシーンの二次創作品では以下のものが一番好きw

https://steamuserimages-a.akamaihd.net/ugc/1835795344313120730/FD9E25364E3129A6C078F8B53E6D244C0AE9AE8D/?imw=5000&imh=5000&ima=fit&impolicy=Letterbox&imcolor=%23000000&letterbox=false

 

 

ゲームへの愛

この作品はメタフィクションではあり、ギャルゲのお約束を皮肉ったもの……
ではないんですよね。

ゲームはゲーム、所詮はまがいもの、そういう結論には至ってない。
様々な文芸が現実の我々へ強い感動を与え、影響を及ぼすのと同様、ゲームにだってその効果はある。
プレイヤー自体が操作し、選択していくが故に双方向性のコミュニケート媒体であり、むしろ他の文芸よりも影響は強いことだってある。

ゲームは、本物だ。

 

1周目でロードを繰り返してCGを全て集めてクリアしたとき、サヨリは「このゲームをプレイしてくれてありがとう」と感謝してくれる。
明るい音楽、「Your Reality」が流れながら、ゲームは終わる。
現実、ひいては重要な場は、本当にゲーム以外の場所しかないのだろうか。
違う……この感動は偽物じゃないはずだ。
プレイヤーが感じたキャラたちへの愛は偽物なのだろうか?いや、違う……

サイドストーリーではマインドフルネスの考えが取り入れられており、感情を抑え込むことの不可能性や存在を認めることが描かれています。
詩、物語、マンガといったものへの感動を素直に受け止めることが描かれております。
誰かに言われても好きだし、けなされたら怒るし……

 

プラスで追加されたサイドストーリーは真っ当に読み物でした。
男が出てこないとこんなにも平和だし、あら~~^だったとは!
この百合感、やっぱり作者はGeekだわ、やるじゃん😏

と、一周してしまうんだなこれが。

 

 

ゲームから始まり、巡り巡ってゲームに終わる。
ドキドキ文芸部は、ゲームへの皮肉と軽蔑で終わるかと思いきや、尊敬と愛が含まれた素晴らしい文芸だったと、私は総括します。

 

市販ゲーム

Posted by YU