千年女優 感想

雑記
 タナトフォビア:死恐怖症。死体などよりも抽象的な死に対して恐怖を感じる症状。
 死に対しての恐怖って何千年も前からありそうですし誰でも持ってそうですけど、あんまり一般的な精神病としては扱われてはいないように思えます。誰もが持っていて当然だからなのでしょうか?それともみんな根本で宗教を持っているから、死に対して幻想を持ち続けていられるのでしょうか?


千年女優
 今敏さん監督の作品「千年女優」をレンタルして見ました。なんか今敏さんの作品ばっかり見てますが、アニメ映画自体少ないですしねぇ…。
 
 あらすじは、偶然出会った男の人にもう一度会うため、戦中に女優となった藤原千代子の人生の軌跡を、彼女に大事なものを返す代わりに取材を申し込んだ彼女のファンである源也とカメラマンが彼女の過去と出演した映画を追体験していきます。
 とりあえずだ、過去の千代子の姿が「NHKにようこそ」の岬ちゃんに似ていて泣きそうになった、懐かしくて。それに忍者として出演するシーンもあるのですが、それもまたいい。普通に萌える。
 この作品は千代子の人生の記録みたいなものですから、千代子に感情移入できるかが評価の分かれ目だと思います。私は上記のような思いがあったので、何もせずに感情移入できました。
 今敏さんの作品らしく、この作品も現実と作品を行き来しながら物語は進んでいきます。ですのでいきなり場面が変わったり、現実だと思っていたら映画の中だったりすることが多々あります。
 千代子現実に探している男の人がいますが、出演する映画の中でもいつも男の人を探して旅に出たりしています。そのおかげで戦中以降を舞台にした場面では、映画か現実かほとんど判別つかないようなものもあります。
 ストーリーは基本的に一直線なのですが、何回も出てくる重要なシーンもあります。戦国時代を舞台にした映画のシーン、婆さんの言っていた言葉、
 

未来永劫恋の炎に身を焼く定め。我はそなたが憎くてたまらぬ。そしていとおしい。

 ただの映画のワンシーンだと思っていたら、何回も出てきます。千代子が女優をやめるきっかけにもる重要なシーンです。そして彼女の心理を知るのにもね。
 千代子は探していた男の人を見つけるために女優になりましたが、年老いてしまった自分を見て、この姿を見られたくない故に女優を辞めて隠居生活を送ることになります。ラスト辺りに、自分の顔があの映画の婆さんの顔に見えたのは、その婆さんの言っていた言葉の本当の意味を知ったからでしょう。
 美しくて純粋だった、若い自分が憎くて、いとおしい。あの婆さんは言ってみれば未来の自分だったのかもしれませんね。
 男の人を追い求めてきた彼女の半生を、彼女は一番最後にこう言います。

「だって、あたしあの人を追いかけているあたしが好きなんだもの」

 
 
 …
 マジカ━━━━(;゚д゚)━━━━━ !!
 正直これは自分が全く予想していなかった言葉だったのでかなり驚きでした。それに最初は全く理解できませんでした。本当は恋に恋していただけだったの?と思っていました。
 しかし、よく考えてみるとちょっと理解できたかもしれません。彼女は女優であり半生をそれに捧げてきたことを考えると、映画のようにロマンチックで純粋な人生だった、と自分の人生を省みたからかもしれません。まあつまり…現実でも映画でも自分は「女優」として生きた、ということを言っているのかもしれません。
 女の人の心理はよくわからんけどね!

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荘司美代子小山茉美

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Posted by YU