ぼくのなつやすみ 感想

雑記
 知識を身につけるべきであったか、なかったか。
 知識を身につければ他者の愚かな行為を見逃すことが出来ず、結果的に人間不信みたいなものになってしまう。が、知識があれば楽しい遊びや世の中を楽々と渡っていくことが出来る。
 何が良いか悪いかなんて、一概には言えないのかな、やっぱり。


ぼくのなつやすみ
 ミレニアムである2000年に、ミレニアムキッチンによって作られたプレイステーションゲーム、ぼくのなつやすみについて感想を書いていきたいと思います。
 1975年、昭和50年を舞台として製作された、過去回帰のゲームです。その年代に子供だった大人たちがプレイするとかなり懐かしい気分になるようですが、自分はその年代ではないけれどもかなりのノスタルジックを感じました。
 母親が臨月を迎え親戚の家に1ヶ月預けられることになった「ボク」が、田舎の生活と自然と、人々に触れ合いながら時を過ごしていきます。
 親戚の家は田舎の中でもさらに郊外にある家で、周りには他人の家なんか一つも無く、ただただ自然が広がっています。ボクはその中で、虫取りや魚釣り、虫相撲に凧揚げにお散歩などをしたりして遊びます。やることがなさそうだと最初は考えてもいざ始めると、結構忙しいくらいやることがあります。日々の遊びやお話をしたりするだけで、すぐに夕方になっておじに迎えられます。
 特に虫相撲は面白く、自分が取ってきて育て上げた甲虫たちを戦わせるのはかなり燃えます。相撲が始まると自動で戦いあうのですが、それでもかなり手に力が入るくらい熱中しますよ。相手との相性や相撲前に虫の背中をいくら叩くかを考えたりするのも楽しいです。
 
 このゲームの最大の売りは、やはりその雰囲気でしょうね。ただ外を走り回ったりするだけでも、私たちが子供のころに味わった夏休みの、どこか静かで孤独な雰囲気を味わうことが出来ます。特に、夕焼けの風景は最高で、薄暗い家の中や岬からの夕陽はもちろん、普通の道にすら感動してしまいます。
 後、人々との会話も楽しく、一見普通の会話なのに、人生について考えさせられたり、あの時代そのものについても考えさせられたりします。おじが家族のことについて考えたり、萌の進路のことや失恋、オオカミ娘の思い出話など、ドラマチックなことはあまり無いのに引き込まれます。
 イベントでは「あなあなぼぼん」のエピソードが気に入っています。バッドエンドじゃないのに切なすぎですし、それで萌が立ち直ったことも良いです。
 夏休みが終わりに近づくと、いろんな問題が解決されていきますが、それと同時に月夜野で知り合った人々に「もうそろそろ帰る」と告げたり、お別れの挨拶を告げたりしていくのはなんとも切ないものですよ。大人なら少し離れただけでも、会おうと思えばすぐに会えるのですが、子供ではそう簡単にはいかないんですよね…。だからこそ、東京に帰る夏休み最後の日が、あんなにも泣けるものになったんですね~。特に、詩がヒマワリを持ってきてくれたところは、ノスタルジックな感動がありました。
 エンディングでは、スタッフロールの横に実写の子供たちの写真が映し出されます。どんな人にだって子供の時代はあったし、子供らしく時を過ごしてきたのでしょうね。子供たちの写真を見ながら、今はみんなどんな人生を送っているんだろう?、みんな幸せに暮らしているんだろうか?、そんな感じで、人の人生について深く考えさせられましたよ。
 後、テーマソングの「この広い野原いっぱい」も良かったですね。歌詞に、ゲームでも出てきた「赤いリボン」の言葉が入っていて、歌を聴くと詩のことやこの夏休み全体について思い返されます。ゲームの中に出てきた人々は架空の存在なんだけど、「今はどうしているのかな」と思ったりしてしまいます。
 エンディングは5種類あり、条件をいくら満たしたかで変化します。特にオススメするエンディングがあるのですが、それは多くの条件を満たさなければならない一番難しいものです。そのエンディングでは、ボクは売れっ子作家になって、この夏休みのことについての小説を書こうとし、一番最後の結びの文を考えているというものです。
 ボクが考えた、結びの文。それは、
「さよなら、20世紀」
 
 このゲームは作られたのが、21世紀直前です。このゲームはまさに、あの古き良き自分たちが生きてきた20世紀に、別れを告げた、20世紀最後を代表するゲームと言ってもいいんじゃあないでしょうか。
 「さよなら、少年時代」ではなく、「さよなら、20世紀」。21世紀になる前に出るべくして出たゲームでしたね。
 昔を懐かしむこと。なんて美しくて清い行いか。私は「思い出」の価値を見直さなくてはいけません。


やりこみ記録
完全無欠の夏休みを送った
(ほぼ)全ての昆虫のキングサイズを取った、全てのエンディング変化条件を満たした、ほぼ全てのイベントをこなした、全ての写真を手に入れた、全ての道具を手に入れた、全種類の魚を釣り上げた、「なにもない1日」を1日も送らなかった
・(多分)全ての日記を収集した
・全5種類のエンディングを見た
・なにもない夏休みを送った
パーフェクト!!
 やりこむときのコツや注意点を書いておきます。
・昆虫のオニヤンマはキングサイズがいない。
・オニクワガタ、コクワガタは虫相撲初期でのみキングサイズを手に入れることが出来る。
・おばから夕飯後に写真を受け取るとき、他にイベントがあるともらえなかったりする。
・凧は「受け取ったその日に凧揚げをしておじに発注」を何回かしないと、全て手に入れることは難しい。
・おじが迎えに来る場所は決まっているので、迎えが来ない場所でずっと虫取りしたりできる。
・何か調べるだけで時間が経つ(地蔵など)
・夕飯前でも絵日記の画面から寝ることは出来る。
・夏休み後半は強制イベントが多いので、「夕飯前に寝る」ことをしていけば絵日記を効率よく収集できる。
・虫相撲では、オニクワガタがカブトムシやヒミツヘイキに対して強い。100勝カブトムシにも勝てるし、オニクワガタ2匹でヒミツヘイキ倒したし。
 
絵日記のまとめ記事を作ってみたので、よろしければどうぞ↓
絵日記まとめ

ぼくのなつやすみ PlayStation the Best ぼくのなつやすみ PlayStation the Best
(2001/06/14)
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Posted by YU