2025年GWツーリング――中国山地と瀬戸内国際芸術祭

2025年のゴールデンウィークは、5月3日(土)~5日(月)の2泊3日キャンプツーリング。

6日は雨予報ってことと、忙しくて有給とれずで、今年は短め。
嫌な上司のおかげでストレスが……だけど、自分の人生や魂において重要なことはそれじゃないから、どうでもいいじゃない。
と言い聞かせながら旅をしていました。

 

予約無し、近場で、として、まだちゃんと行ったことのない中国山地内部をメインとしました。
旅程はほぼ考えず、バイクで走りながら、テントに入って次の行き先を考えるという、ざつ旅。

1日目

竹原

まずは安芸の小京都、竹原へ。

海と山が迫り、そんなに大きくない川が作り上げた古い街並みが残る場所。
開放的な瀬戸内の乾いた風と光、にも関わらず山が迫っていて閉鎖的にも見える雰囲気は何だか盆地のよう。
でも地図的には港町なのよね。

この日はちょうど「竹祭り」なるものをやっていて、人通りも多し。
晴れと新緑の香りと、古い家に差し込む光や風がまた、良いね……

見てないけど、ここって「たまゆら」の聖地で、放映終了してそれなりに経つけど道の駅にはまだコーナーとかありました。
ヒーリングアニメか……見ようかな。

 

仙石庭園

現代の医者がほぼ道楽で集めた日本各地の岩により作った、岩石庭園。
2000年頃から本格的に収集し始めたようで、2017年に開園。
日本庭園の中ではかなり新しい方だと思われます。
自分の所有しているツーリングマップル(2014年版)にはもちろん載っておらず、グーグルマップで「資料館」で検索するとたまたま見つけたので行ってみることに。

いや本当、こんなん一人で企画しようとするレベルじゃない。

岩石の種類もさることながらその設計やコンセプトに、様々な草花(樹齢数百年のウバメガシもある)を集めて植えているところも凄けりゃ、
これをほぼ医者の副業(本業も功績多数)みたいな労力でやってしまうんだから。
人としての格の違いも見せつけられた。

一番頭おかしい凄いのは、やっぱり「仙神大滝」でしょうか。
元々滝なんてなさそうなこの地に滝を作るだけでなく、構成する岩盤の種類を変えて色とりどりにしているところ。
つまり、一つ一つの岩を丁寧に重機で積み上げている、ということでしょう。
この造園の手法や岩の集め方だけでも、まとめたら立派な本になりますぞ。

安芸高田

仙石庭園後は、安芸高田に行って郡山城の資料館へ。
とは言え歴史ある城下町とかがあるわけでもなさそうなので、買い出ししてそのまま温泉へ。
この日は「たかみや湯の森」へ。

地理院地図で野宿できそうな場所を探し、キャンプ。
全く人来なさそうなところ見つけられて満足😆

おじさんになるにつれて、若いからこそ許されている貧乏キャンプも、ただの不審者要素が強くなるからね……

2日目

三次風土記の丘

中国山地の盆地市街の中では比較的大きく見える三次を観光。

……なんだけど観光情報見てもかなり観光地少なそうな。
交通の要衝そうだから歴史も色々あるかと思いきや。

朝早いので妖怪の資料館は開いておらず、三次風土記の丘で朝の散歩と資料館観光。
中小の古墳が大量に集まっているのは特異的。
大王の墓、というより貴族の墓地だったのかな。

 

帝釈峡

紅葉で有名な帝釈峡へ。

GWでは新緑が綺麗なので、この時期でもおススメです。

代り映えのしない中国山地の中ですが、この辺りは石灰岩による浸食作用が起こっているようで、溪谷や鍾乳洞が多くて多様性あり。

吹屋

中国山地の中をひた走っていた2日目の最後の観光地は、ベンガラで赤く染まった吹屋。

広兼邸は、まるで城のような石垣と豪邸。なだらかな中国山地でこんな山城みたいなのを作ろうとする気概が、ようわからんというか凄いというか。

吹屋の街並みはよくある中国山地の台地上に突如と現れる歴史情緒のある街並み。
ここまで赤く染まった町は初めて。

吹屋小学校も古さと雄大さを兼ね備えた美しいもので、最近補修が終わったので先進的な観光手法もあったり。

 

この日は「桃太郎温泉」に入って、海の近くまで行って野宿。
海の近くの山の中でも、潮の香りがして雰囲気が違うような……気のせい?

3日目

犬島

3日目は岡山県の宝伝から6時40分の船に乗って、瀬戸内国際芸術祭の舞台の一つである犬島へ。

GWの朝のまだ涼しい時間、斜光で染まる海や島々と言ったら……
砂浜やキャンプ場に、新緑に染まる丘もまた素晴らしい。
風もなく、凪いで、ボラたちがその快適さを示すかのように集まっているし。

瀬戸芸の植物園や花畑は管理されている方がいるようですが、ボランティアなのかな、仕事なのかな。
こういう、美しい場所を美しくする活動って、憧れる。

精錬所跡が開く時間までは至極のんびりと島内を観光。
精錬所は芸術作品もさることながら、この広大な敷地全てを美術館に変えてしまった最初の行動力が凄すぎると思う。
実際、役所や旧所有者との折衝もかなりあったことだろうし。
あのスラグレンガで作った大量の部屋らしきものは、一体何に使っていたのだろう。
そういう精錬所そのものの歴史展示もしてほしいなとは思った。

犬島の生産人口は両手で数えられるほど少ないけど、人口0人にするには観光地も多い。
ここも空き家を改修して移住者を増やす取り組みとかをする余地はあるように思う。
第一、この島は美しい。

 

沙弥島・瀬居島

帰宅前に香川県側の沙弥島と瀬居島へ。

特に好きだったのは、「瀬居幼稚園(Say Yo Chain!)」ですか。
私の好きな民俗と、芸術のコラボレーション。
情緒の刺激や感動って、芸術と通じるものがあると思う。

幼稚園、小学校、中学校で芸術作品を展示しているけど、この辺の企画や権利関係も、裏では様々な活動があったんでしょうね。
身の回りに美がある。それらを環境展示で演出していくのが、瀬戸芸の面白いところだと思う。

 

総括

今回、中国山地をメインに据えましたが、中国山地は何もない。

どこまで走っても走りやすい、同じような地形・植生・街並み。どこまでも程よい田舎。
四国ならもっと険しいところに人が住んでいる。
それに比べたら中国山地はどこでも人間が暮らしていける山地なのに、人口密度が高いわけではない。
暮らしやすいということは、刺激が足りない、帰依するものがないということだろうか。皆が同じ生活、皆が同じ生き方、新進気鋭が必要とされないのだろうか。

 

古い学校に入ってみると、不思議な感覚に陥る。
理科用の小さな器具、毒気の無い分かりきった国語のお話……
毎年子供たちに、同じことを優しく教える、その単純で澄み切った学習内容がまるで「真理の教え」かのようで、死ぬまで帰依しそうに思える。

ほんの10歳頃に教わったことを、真理だとして100歳まで持っておくんだ。
そう信じられたのなら、それも美しいことだと思わないか。

旅行記

Posted by YU