BLAME!10巻 感想&総括

雑記
 ちょうど2年前に買ったウォークマンS-745が、今日50cmくらいの高さから落としたときにホールド部分が壊れてしまった…。
 修理に出そうと思ったけど、補償期間外だし理由が「落下」だから料金高くつくだろうなあ~と思って、自分で修理してみることに。
 ネットにある情報を参考に分解していって、見事に内部でホールド解除に成功。だけど、分解時に力を入れすぎてしまったのか、今度はボタンが無反応に…。リセット押しても駄目、パソコンにつなげると一応電源はつくようだけど…。ボタンの修理をネットで見てみると、はんだづけみたいなことまで必要になるようです。
 ここまで自分で壊してしまったら、修理費は新品購入以上になるだろうなあ、ということで次は何買おうか今考えています。今の候補は、壊れたウォークマンのマイナーチェンジ版のS-760シリーズで、今度はちゃんと保護カバーをつけようと思います。
 

BLAME!(10) (アフタヌーンKC) BLAME!(10) (アフタヌーンKC)
(2003/09/22)
弐瓶 勉

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10巻
img018_20111005161204.jpg 最終巻です。この物語は、どうなるのか。
 統治局の代理構成体は、実はかつてキリイと対立したセーフガードだったサナカンであったようです。ん?待てよ、セーフガードだったサナカンがどうして統治局の代理構成体になっているんだ?実際にサナカンはネットスフィアにも接続できるようで、そこで統治局らしき者と対話をしています。
 シボが珪素生物に奪われたことで、サナカンに付加していた統治局の効力も無くなります。セーフガードの効力もすでに無いようです。死んだらもう再生できない状態ですが、それでもサナカンはシボを助けに行きます。この、サナカンが自分の身を挺してでも、かつての敵であったシボを助けようとするシーンはかなり燃えましたよ
 サナカンとシボがセーフガードの上位駆除系に襲われている中、キリイが登場。セーフガードはかなり強いですが、キリイが倒されそうになったときにサナカンが自分の身を犠牲にしてでもキリイを守って、キリイが相手を倒すことができました。このシーンも、かつての敵と共闘するという、王道的な面白さがありましたよ。
 上位駆除系の攻撃に巻き込まれて、サナカンとシボは正真正銘の死亡。このシーン、感情をほとんど表さないキリイが、涙を流していましたよ。どんな敵に対しても躊躇せずに殺したり、人々が多く死んでもくよくよなんて一切しないキリイが、長期間旅を共にしてきたシボの死を目にして、物語の中では始めて涙を流したのです。私も泣きそうになった
 胚の入った球体を持ちながら、キリイはさらに旅を続けます。女形セーフガードを倒したときに何か想うところがあったりしながら。おそらく、シボたちのことを思い出していたりしていた?もしそうなら、キリイの感情はいくらか人間的になったのかもしれない。
 途中、セーフガードに重傷を負わされ、液体の中を流れていき、球体が作動。キリイは生まれてきた人間(おそらく女性)を感染させないようにしながら旅を続けます。物語はそこで終了。
 考察を含む総括は以下で↓
 
総括
img019_20111005161203.jpg 総括の前に、少し疑問に思ったことを自分なりに考察していきます。
 まずは、サナカンについて
 どうしてサナカンは統治局側に移り、かつての敵であるシボを助けようとしたのか?そして、ネット端末遺伝子を持っている人間の胚が入っているらしい球体の中に、「二人の女性の遺伝子」というように、どうしてサナカンの要素も含まれていたのか?ていうか、構成体のサナカンにも遺伝子はあったのか?
 サナカンについてまとめると、サナカンはセーフガードの部隊長的な感じでキリイたちの前に立ちはだかりましたが、そのときはシボがサナカンの身体を奪って、サナカンの意識が復活しないように東亜重工内に移動。東亜重工内にセーフガードや統治局が関与できるようになると、サナカンの意識が復活してきて、シボは別世界線のシボの身体に移ります。そしてサナカンは復活。しかし、キリイの重力子放射線射出装置の前に敗れます。
 その後、シボはネットスフィアへの仮接続時に、球体を持ったレベル9セーフガードとなります。ということは、このときすでに球体内にサナカンの遺伝子が含まれていた?いや、球体は「受容体」と言われているので、何かを受けるものなのです。もしかしたら、シボの遺伝子を元々備えてはいたが基底現実に復活してきた後のサナカンの遺伝子を受容したのかもしれません。そして、もしサナカンの遺伝子が球体に受容される時期が統治局からの効力が無くなる前だとしたら、自分の身を挺してでも自分の子供を守るために母性を持って、シボ(球体)を助けることを決めたのかもしれませんが、どうでしょうかね。
 基本的に、胚は男と女の遺伝子によって作られるものです。では、どうしてシボとサナカンというように、女同士で胚が作られたのか?
 「シボの遺伝子にはセウの遺伝子も転写されていた」そうです。だから、シボとサナカンの二人の女性でも、男性的な遺伝子を含んだ胚を作れたんじゃないかと私は考えます。
 さて、総括です。
 まず言っておくと、この「BLAME!」という漫画は、噛めば噛むほど味の出るスルメ漫画です。セリフが少ないので、他の漫画と同じようなスピードで読むとあまり魅力を感じません。が、一コマ一コマに描かれている壮大な空間や虚無感をじっくり味わいながら読んでいくと、妙に面白いです。いや、むしろ面白いというか、心地いいです。戦闘シーンや化け物の姿形なんかも、心躍りますし。
 じっくり読んでいくとわかるのですが、都市の構造や巨大な建築物に圧倒される。作者は建築工学を学んでいたことがあるらしいのですが、その知識を十分に発揮して漫画を描いているので、こんなに読者を圧倒させる構造物が描けたのでしょうね。こういう構造物の発想はSF小説などにはまあまああるそうですが、漫画家に建築とSFの知識を兼ね備えた人はほとんどいなさそうなので、こういうものは弐瓶さんしか描けないでしょうね。やはり作家は、何かの専門的な知識という武器を持つ人がいいね。
 現在、「インターネットが現実を変える」と言われています。ネットが登場したときでもそのようなことが言われていたのかもしれません。ネットが登場したことでSF業界は、「ネットが現実を操作する」という題材を得たと思います。そして、現実がネットによって変わる様を作品として描くのです。しかしBLAMEではどうでしょう。BLAMEは「ネットが現実を変える」という発想を前提にして世界を構築しているのです。実は、私はこの点においてこの漫画に凄さを感じます。普通は、「ネットのカオスで大きな構造物が出来た!」で終了するような気がするのに、この作品ではそれよりも一歩踏み込んでいるのです。素晴らしい。
 BLAME!はハードSFな世界です。人間は簡単に死んでいくし、無機質な構造物や機械ばかりで、世界に生気を感じません。
 しかしよく読んでみると、実はこの物語には「感情」というものが多く含まれているのです。1巻での治療者なんていないことを知っていた男の話、メンサーヴとセウの関係、人間らしいドモチェフスキーとネットスフィアを見たいという欲求を持つ珪素生物、シボとサナカン、キリイの涙。
 心を持たない者が心を持つようになる、というのは物語として王道ですが、異様な世界の中でそれをやられるとかなり感動的です。異様な世界では異様な物語になるのだろうと思ったら、こんなにも人間くさいことをやってくれたんですからね。
 いやいや、ホント、「BLAME!」は有機的にも無機的にも面白い漫画だと思いましたよ。魅力を味わうためには、何回も読むことをオススメします。
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漫画

Posted by YU