漫画版 ゼブラーマン4,5巻 感想&総括

雑記 
 積みゲーが多くなってきた…!!
 全部PS1ですが、やってみたいゲームが多すぎる。
 個人的にはPS1が最も量のバランスがとれていると思います。


4巻
夜明けの色 4巻でモズーマンソンとの戦いは決着します。その前に、1巻で登場していたカニジャックがもう一度現れて、本性を表してくれます。彼は自分の子供だけは真っ白でいてほしかったのです。人の娘を犯す人間が言うことではないけれど、親なら誰だって自分の子供が一番かわいいから。
 カニジャックが人の娘を犯したり殺したりしていたのはどうしてなのでしょうか?単に自分の性的欲求を満たすためめ?それとも、金のためなら誰とでも寝るような汚れた女に娘が近づいて影響されないようにするため?
 モズーマンソンと再戦するためにゼブラバイクでやってきたゼブラーマンは、もういちど「大人テスト」をすることになります。空はどうして青いのか?ゼブラーマンの出した答えは、
「空は青色だけじゃない…。」
 空は「青」だと確信を持って言っている人は、空をよく見ていません。本当の空は、青色だったり水色だったり、白色だったり、橙色だったり、私達が空を見上げると空は多種多様な色を見せてくれます。だからこそ、空は青色、だと言う人は逆に空をよく見ずに判断している「大人」なのかもしれません。
 ゼブラーマンはそれを子供の将来にも例えます。世界は「灰色」だけじゃない、未来は「暗黒」だけじゃない、と…。
 モズーマンソンの正体は、一番以外は人間じゃないという親に育てられ、親や大人を深く憎むようになった人間です。大人たちを殺してきた彼ですが、彼は子供の幸せを望んできただけなのです。彼を罪人たらしめたのは一体何だったのか、それを考えると、彼の罪は彼だけのものじゃないと思えてきます。
5巻
大切にしてた何か… 5巻が最終巻。遂に全ての事件の黒幕が現れてくれます。
 最終ステージは学校。「学校に来るだけで無条件で中学合格」という餌にホイホイやってきた親や子供を一網打尽にするために、グレイは人々を学校の中に閉じ込めて爆弾で殺そうとします。
 ゼブラーマンはその計画を阻止するため、単身学校に乗り込みグレイの元へ急ぎます。爆弾を制御するパソコンの前に来た彼が見たものは、今まで彼に助言してきた「サバンナ先生」でした。つまり、市川新市は今まで戦ってきた敵のボスとインターネット上で交際していたのです。そしてさらにグレイは言います。本当の名前は、「ゼブラーマン」脚本家の金原英一だということを。
 金原は「ゼブラーマン」で伝えたかったのでしょう。灰色の世界でいかに白黒つけるか、自分が特別なヒーローじゃなくても大切なものを守っていけることを。
 しかし、番組は打ち切られました。「地味」の一言によって…。
 そのとき彼は「大切にしていた」ものを無くしました。「大切なもの」を守るためにゼブラーマンは戦いましたが、金原は世間に自分の「大切なもの」を受け入れてもらえず、そして自分からも無くなってしまったのかもしれません。
 そんな彼がどうしてこんなに多くの人を苦しめることになったのでしょうか?
 私が思うに、彼はヒーローを待っていたのではないでしょうか?白黒つけられなかったことで人生が灰色になって苦しむ人々を怪物として配置し、次々に起こる事件を「白黒つける」ことで解決していく「普通」の人間を。
 灰色の世界に絶望していた、それでも心のどこかで白黒つけるヒーローを望んでいた。
 弱くても、何の能力も持たなくても、白黒つけて戦う…。それがゼブラーマンなのでしょうね。
総括
木更津ってこんな話だったの? 最終巻である5巻は、実は半分がゼブラーマンの番外編だったり漫画版ゼブラーマン誕生秘話だったりします。ここでちょっとその誕生秘話の感想を…。
 ここでは作者の山田玲司が宮藤官九朗脚本の映画版ゼブラーマンから「漫画版を描いてくれ」と編集長に頼まれるという話が最初にあります。そしてその後一対一で山田と宮藤が対談します。
 そこでは宮藤の「物語観」というか、何か面白いものを作ろうとする意気込みが伝わってきて面白かったです。しかし山田の宮藤作品である「木更津キャッツアイ」の結論って正しいのでしょうか?今の一瞬一瞬を謳歌して死んでいく、という解釈などはなかなか共感できますが。
 しかしニューヨークや東京に行かなくても、何も無いと思われる地元でも幸せに生きて死んでいける…というのはどうなの?木更津キャッツアイの解釈の後半は共感できるけど前半はあんまり共感できないなあ…と、考えていくうちに思ったのですが、作者の年齢を考えると理解できました。
 つまりですね、作者はいわゆる「バブル世代」で、東京やニューヨークでいい女と金を得ることこそが素晴らしいという思いを持っていたのでしょう。そういう思いに囚われていたからこそ、宮藤の描く「素朴な幸せ」とか「楽しく生きることを重きにして、すごいことをやらないまま死んでいく」ということに衝撃を受けたのでしょう。
 ちなみに私は東京もニューヨークもただの場所の一つにしか思ってませんから、作者のような衝撃は受けませんでした。どこに行っても人間はその場所に適応して変化して、また別の場所に夢や希望を求めるようになることは、経験上知っていますしね。
 ゼブラーマンの総括ですが、最早最終巻の感想で全部書いてしまったように思えます。この漫画は人間の思いを重点に置いたストーリー構成ですから、本当に「言いたいことそのまま」なんですよね。おっと、もちろん批判ではないのでそこんとこよろしく。
 他の漫画では総括で「この作品は全体を通して何が言いたかったのか」ということを考察していくのですが、この漫画では必要ないでしょう。まあそれでも簡単に言うと、
特別な能力を持たない私達でも、戦っていける。ということか。
1~3巻 感想

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(2004/12/24)
宮藤 官九郎

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Posted by YU